Project/Area Number |
11878108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Bioorganic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
及川 雅人 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70273571)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | リピドA / 合成 / 安定同位体標識 / コンホメーション / NMR / 蛍光標識 / 自己会合 / 超分子 |
Research Abstract |
リピドAはグラム陰性菌の細胞表層の構成成分リポ多糖の末端部分構造で、リポ多糖がヒトなどの高等動物に対して示すエンドトキシン活性の本体である。この生理活性は、リピドA部分が血中の大食細胞の表層のレセプターに認識されることで免疫系が活性化されて引き起こされる。リピドAはリン酸化されたグルコサミン二糖に脂質が縮合した構造を有しており、その脂質部分の疎水性の相互作用と糖部分のリン酸基を介した相互作用によって自己会合体を形成する。私たちは人工合成類縁体を用いた活性や機能に関する研究を通じて、リピドAが形成する超分子がその活性発現に重要な役割を果たしていることを提案している。そこで本研究では、リピドAの自己会合体の機能解析をさらに進めるために、蛍光標識体と完全^<13>C標識体の合成に取り組んだ。 私たちは1999年にグリシンをリンカーに持つ蛍光(BODIPY)標識化リピドAを合成し、それが生物活性を示す濃度範囲で自己会合していることを明らかにしている。本研究では、リンカーにより親水性の高いヘキサエチレングリコール(HEG)を採用したリピドAの蛍光標識体を、新しいリンカー導入法を開発して合成した。リピドAの標的細胞上での挙動の観察は、水溶性に優れたこの蛍光標識体を用い蛍光顕微鏡やフローサイトメトリー法によって行う予定である。また、天然リポ多糖においてリピドAに結合する酸性糖(Kdo)を有する化合物BODIPY-HEG-Kdo-リピドAの合成も行った。私たちはKdo残基がリピドAの活性を約10倍強めることを化学合成により明らかにしている。今回合成した蛍光標識リピドAをさらに用いれば、リピドAの会合性などの物理化学的な性質に対してKdo残基の存在が及ぼす影響を解析することが可能になるため、それによって会合性と生物活性との関係が間接的に明らかになる。 完全^<13>C標識体の合成は、入手が可能なU-^<13>C-グルコースを出発原料に用いて行う。現在は合成経路の中でもっとも難度の高いグルコサミンへの高収率変換法の開発に取り組んでいる。標識化脂肪酸やエチレングリコール部などはすでに調製してあるため、各コンポーネントの縮合を行えば合成は完成する段階にある。
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