Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
2012年度は,六角格子など,非正方格子上の離散シュレディンガー作用素に対する逆散乱問題の研究に着手した.加えて,前年度正方格子上で証明したレリッヒ型定理について,連続スペクトル内に含まれていたしきい値について結果を一般化することに成功した.これにより,正方格子上においては,有限個の台を持つポテンシャルの場合に,離散シュレディンガー作用素の連続スペクトルの絶対連続性を示した. 格子上の逆散乱問題に関しては,正方格子の場合に得られていたレリッヒ型定理,レゾルベントの空間遠方での漸近展開等を再度証明する必要がある.この典型的な場合として,まず六角格子の場合を中心に検討し,ほぼ肯定的な結果を得つつある.レリッヒ型定理は,ヘルムホルツ方程式の解の空間遠方での漸近的下限を与えるものであり,定常散乱理論のみならず,埋蔵固有値の非存在の証明にも応用できる.六角格子での結果は,結晶格子上の離散シュレディンガー作用素のスペクトル理論に広く適用可能な内容,及び格子形状を変えた場合に対する示唆を多く含んでいるように思われる. 正方格子上のレリッヒ型定理とスペクトル,散乱理論については,連続スペクトル内部にある種の特異な性質を持つしきい値が存在し,そのエネルギーでの解析が課題であった.これは,離散ラプラシアンから導かれるフェルミ面が特異性を持つことに起因する.多変数複素関数論と代数幾何学の基本的結果を用いて,しきい値となるエネルギーにおけるレリッヒ型定理と埋蔵固有値の非存在については結果を得た.前年度の結果と合わせ,有限個の台を持つ場合については,離散シュレディンガー作用素の連続スペクトルが絶対連続であることを示した.
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