Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本年度は,行動活性化療法に関する尺度の整備と介入に対する予備実験を実施した。 研究1として,Behavioral Activation for Depression Scale(BADS)日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討し,日本語版BADSは原版と同様に,信頼性と妥当性を有することが明らかになった。 研究2として,非社会的場面における回避行動の特徴を考慮した行動活性化療法の効果について,予備的研究を実施した。本研究では,大学生の中から抑うつ傾向者で回避行動の頻度が高い者を分析対象者とするために,抑うつ症状を測定するBDI-IIの得点が14点以上で,非社会的場面における回避行動の合計得点が平均++0.5SD(40.46点)以上の者を分析対象者とした。これまでに非社会的場面における回避行動では,比較的難しい課題から介入できることが申請者の研究から示唆された。そこで,実験群では比較的難しい課題から介入を実施し,比較群ではこれまでの行動活性化療法と同様に比較的簡単な課題から介入を実施した。そして,回避行動を変容させることで,各群での抑うつ症状の変化に違いがあるかを検討した。実験の結果,各群では回避行動の頻度が減少し,回避行動に代わる行動の頻度が増加した。次に,各群における回避行動の変化の比較では,群間比較での効果量はd=0.93であることが示された。さらに,抑うつ症状についても群問比較での効果量はd=0.67であった。このことから,実験群では比較的難しい課題から介入を実施したが,非社会的場面における回避行動が減少し,回避行動の変化を促進させることができ,抑うつ症状の変化にも効果があることが明らかになった。本研究の結果は,比較的難しい課題からでも行動活性化療法を実施することができることを明らかにしたものであり,これまでの簡単な課題から実施する行動活性化療法よりも介入にかかる期間を短縮できる可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,調査研究として尺度の整備を実施し,介入研究では,抑うつ症状の低減に向けた回避行動の特徴を考慮した介入法の提案をした。調査研究と介入研究は,予想される結果が得られたことから,おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の結果から,非社会的場面における回避行動に対しては,難しい課題から介入を実施することで,介入回数が少なく,かつ治療効果が高い介入プログラムを構築できることが示唆された。しかしながら,介入プログラムは構築されていない。今後は介入プログラムを構築するために,これまでの介入法と比較して有効性を示す必要がある。
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