Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
(1)自閉症幼児の意図理解に関する研究 昨年度から実施している意図理解実験を引き続き行い,6名の自閉症幼児と7名の発達遅滞幼児を対象に実験を行った。具体的な手続きとしては、D' Entemount & Yazbek (2007)の実験課題を改良し、実験者が行う失敗試行を子どもがどのように模倣するかを評価の対象とした。先行研究の問題点として、提示する実験者の操作が「何を意図して行ったか」について子どもが均一の理解を示しているかどうかが統制されていないという点が指摘されるため、本研究では、課題ごとで操作が異なるが、同一の形状をしたスピーカーから音が鳴るという行為の結果を同一にし、実験者が「音を鳴らす」という意図を持っていることをより明確な形で子どもに示した。その結果、発達遅滞幼児が失敗試行を模倣せず,実験者が意図した行為のみを再生する子どもの数が多いのに対して,自閉症幼児群の子どもは実験者の操作の成功失敗に関わらず、行為をすべて模倣するという反応が12名中10名に見られるなど,2つの群における反応に有意な差が見られた。このことから、自閉症幼児が発達遅滞幼児とは質的に異なる意図理解を示すことが明らかとなった。 (2)自閉症幼児と保育者との相互交渉スタイルの検討 平成24年度より,自閉症幼児が示す相互交渉場面での障害特性を検討するため,保育者との相互交渉場面の分析を,発達遅滞児の相互交渉との横断的比較を行った。24年度は6名の自閉症幼児と5名の発達遅滞児を対象に,保育者とおもちゃで遊ぶ場面を録画し,1)遊びの継続時間と2)遊びの展開の仕方の2点から分析を行った。サンプル数が少ないことが今後の課題であるが,現在のところ,遊びの継続時間に両群に差は見られないものの,遊びの展開の仕方で差が見られ,自閉症幼児群では保育者からはたらきかける回数が有意に多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に引き続き,障害児を対象とした実験を実施できたため,統計的な分析を行えるサンプル数を確保できたため。同時に,相互交渉スキルの横断的研究に着手できたため。 実験研究では,対象となる障害児のデータ数を増やし統計的な妥当性を高めること,そして統制群として定型発達児にも同一の実験を行い,自閉症幼児が示す反応の特徴を,障害特性と発達的特徴の両面から検討できるようにする。
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