Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究では, 寒冷地における開水路の劣化現象の解明, 劣化診断方法の開発, および対策工法の開発の三項目を検討することを目的として試験を行っている. ここでは, 平成25年度に行った研究の成果について記述する. 平成25年度は, 劣化診断方法の開発に重点を置いて研究を行った. 寒冷地における劣化現象の最たるものとして凍害が挙げられる. 凍害診断の際には, 一般的に相対動弾性係数が評価指標として用いられる. 相対動弾性係数は劣化前後の一次共鳴振動数の二乗比から求められるが, 現段階では, 一次共鳴振動数を非破壊試験によって現地で測定することができない. そこで, 測定機器を組合わせて使用することで現地非破壊試験によって一次共鳴振動数の評価を行う「改良共鳴振動法」についての検討を行った. 検討の際には, まず室内試験によって既存の試験方法に対する改良共鳴振動法の適応性の検討を行った. 供試体としては, 凍結融解試験に供した劣化度合いの異なる状態のものを用いた. 結果として, 改良共鳴振動法は, 既存の試験方法と比較して大よそ同等の評価値が得られることが確認された. その後, 凍害劣化の進行した実構造物を対象とした試験を行ったところ, 現地で測定した一次共鳴振動数の評価値と, 測定箇所で測定した超音波伝播速度から算出した一次共鳴振動数の間に高い相関があることが確認された. さらに, 改良共鳴振動法を基として, 電磁波レーダ法と超音波法の表面走査法を組合わせた, 動弾性係数評価のためのフロー図を作成した. このフロー図は, 薄肉の構造物の劣化診断に特化したものであり, 劣化診断後の対策法を策定する際に構造計算で必要となる既存コンクリートの弾性係数を評価するためのものである. 現地試験を行い, フローの適用範囲についての検討を行うと, 凍害劣化の潜伏期・進展期までの範囲であれば, 本フローによる動弾性係数の評価が可能であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2カ年で, 劣化現象のメカニズムについては解明することができている. それに加え, 診断方法の開発として, 改良共鳴振動法やフロー図の提案といった具体的な方策を示すことができた. また, それらの診断方法については, 室内試験のみに留まらず, 現地試験を重ねることができたため, 適応性や適応可能範囲の検討まで行うことができた. 以上のことより, 本研究はおおむね順調に進展したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の研究期間は平成25年度をもって終了する. しかし, 今後は目的の一つとして挙げられている対策工法の開発について, 取組む必要があると言える. 寒冷地のコンクリート製開水路では, 劣化現象のメカニズムから, これまでの対策工法では対応できない事例が考えられる. また, 既に補修を終えた区間においても, 再び補修を行う必要となる箇所が出てくることも想像に難くない. そこで, 実際の現場での試験施工を重ねながら, 層状ひび割れに対応することができる工法を探ることが有効であると考えられる.
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