ルソーの自然科学受容とその政治哲学への応用について
Project/Area Number |
11J04894
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
淵田 仁 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 啓蒙思想 / 科学史 / エピステモロジー / 哲学的方法論 / 化学史 / 分析的方法 |
Research Abstract |
平成24年度の中心課題は、ジャン=ジャック・ルソーにおける哲学的方法論の解明および18世紀フランス啓蒙思想期における経験主義哲学研究であった。 まず、『化学教程』においてルソーが着想を得た世界観が後の思想展開にどのように関係しているかを『サヴォワ助任司祭の信仰告白』(『エミール』第四巻所収)を用いて検討した。その結果、『化学教程』で得られたエピステモロジーが『人間不平等起源論』『エミール』といった作品に息づいており、唯物論者ドルバックとの決裂も個人間の問題からというよりも、エピステモロジーの違いに基づいていたということが明らかとなった。コンディヤックやドルバック、ビュフォンらの間で共有されていた啓蒙思想におけるプログレマティークとは別の次元の問いをルソーが提起していたということが明らかとなった。この点に関しては、ブリュッセル自由大学の18世紀研究所が発行している論集『Etudess sur le 18^e siecle』のルソー生誕300周年記念号に論文を掲載した。 以上の問題から、ルソーの哲学的方法論について研究をおこなった。諸自然科学や新興の学問を総動員してルソーは自らの哲学・政治思想を構想した。そのとき、ルソーは〈方法論〉に重きをおいて自らの思索を深めていったと考えられる。この問題に関しては、日本でおこなわれたルソー生誕300年記念国際シンポジウムにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の達成度としては、おおむね順調だと考えられる。『化学教程』と代表的哲学書との関係や、同時代人との相違点をある程度成果としてまとめられた。また、方法論に着目するという新しい視点を研究に取り入れることに成功した。しかし、『社会契約論』そのものを研究の射程に含むことができず、今後の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
『社会契約論』といった代表的テクストをこれまでの方法論研究と結びつけるためには、『社会契約論』というテクストの成立過程を丹念に追う必要がある。とりわけ、ルソーの読書メモや書き込み、書簡といった周辺的テクストを視野に含めることでこの問題は解決可能となるだろう。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)