Project/Area Number |
11J05225
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Indian philosophy/Buddhist studies
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐々木 亮 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員DC1
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2013: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | ヴァーダ・ニヤーヤ / ヴィパンチター・アルター / ダルマキールティ / シャーンタラクシタ / 仏教論理学 / プラマーナ / ニヤーヤ学派 / 討論術 / Dharmakirti / Vadanyaya / Santaraksita / Vipancitartha / nigrahasthana / インド大乗仏教 / badhakapramana |
Research Abstract |
本研究の目的は、ダルマキールティのVadanyaya (VN)の解読を軸に、このテキストと対立関係にあるニヤーヤ学派の諸文献を精査し、インド大乗仏教とニヤーヤ学派の思想的差違及び両者の影響関係を明らかにしつつ、VNの主要な討論術的概念である「敗北の条件」(nigrahasthana)の内容分析を図ることにある。また、研究推進に当たり、シャーンタラクシタのVNに対する註釈文献であるVipancitarthaを積極的に活用する。 VNはその構成上、asadhanangavacanaとadosodbhavanaという術語を用いて「敗北の条件」に対してダルマキールティ独自の定義を与える前半部と、ニヤーヤ学派の「敗北の条件」の定義に対して批判的検討を行う後半部とに分けられる。平成25年度は、従来の先行研究では十分に検討されてこなかった、このVNの前半部と後半部の具体的な対応関係を調べ、VNの包括的な論理構造を解明した。また、この研究課題を遂行するに当たって、VNの全訳(本邦初訳)を作成した点も特筆すべき本研究の意義であると言える。加えて、Vadanyaya以前の討論思想がVadanyayaに与えた影響を解明することで、「敗北の条件」及び「討論」概念を基軸にしたインド討論思想史モデルの構築を目指した。 以上の研究遂行のために、平成25年度は、オーストリア科学アカデミー・アジア文化・思想史研究所(IKGA)を訪問し、約1年間滞在した。IKGAでは、Helmut Krasser博士(IKGA所長)、Ernst Steinkellner博士(IKGA元所長・現客員研究員)より、本研究のための資料提供や資料解読の点で多くの支援を頂いた。また、VNの専門家であるMichael Torsten Much博士(ウィーン大学准教授)からも、本研究に対する継続的な助力を頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、当初の目標であったVNの全訳の作成を達成することができた。また、研究の主要課題であるVNの包括的な論理構造を解明することができた。従って、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の最重要課題はシャーンタラクシタのVNに対する註釈書Vipancitarthaのテキスト校訂・訳註研究である。Vipancitarthaは、VN解読の情報源や、シャーンタラクシタの論理学思想・討論思想を知るための資料としての価値があることは言うまでもなく、インド哲学諸派のフラグメント回収に資するという点で、近年はインド哲学研究者からも関心を集めている。他にも、VNに対するヴィニータデーヴァによる註釈書の解読、VN以降のニヤーヤ学派に対するVNからの影響の解明や、VNがチベット仏教へ与えたインパクトの調査など、VNを基点にそこから拡散していくインド討論思想史のモデルを構築することが、今後の課題となると思われる。
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