Project/Area Number |
11J05538
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
合田 陽祐 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員PD
|
Project Period (FY) |
2011 – 2013
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | アルフレッド・ジャリ / 作品とコンテクスト / 象徴主義の受容 / 19世紀末思想史 / 文学コミュニケニーション / 読者の位置 / エクフラーシス / 手書草稿 / メルキュール・ド・フランス / リストと列挙 / アンソロジー / ドレフュス事件 / 作家の共同体 / コラージュ / テクスト生成 / コンテクスト主義 / イメージ論 / 文学的コミュニケーション / アリュージョン / 文学の政治 / 十九世紀後半の大衆文化 / 人形劇と演技の不要性 |
Research Abstract |
最終年度となる本年度は、これまでの研究をまとめるべく、発表を三回行い、六本の論文を執筆し成果の公表につとめた。特筆すべき業績は、日本フランス語フランス文学会の春と秋の二回の全国大会で発表を行い、査読を経て二論文が掲載されたことと、フランスの国立ランス大学で開催された国際シンポジウム「アルフレッド・ジャリ、手書草稿からタイポグラフィーまで」において研究発表を行ったこと(議事録は本年度秋に刊行予定)である。後者に関しては、手書草稿という視覚的なコーパスを発表の分析対象とした点で、イメージの問題を主題とする本研究の課題と密接に関わる。日仏学会誌の論文では、おもにジャリの作品のコンテクストとなる部分を検討した。ジャリによる心理学の援用、またはオカルト哲学や表象理論の参照について議論することで、ジャリの作品を19世紀末の思想史の文脈に位置づけることを試みた。大学の紀要等に掲載された論文でも、ジャリが作品で展開している議論が、19世紀末に固有の催眠術や男子同性愛をめぐる言説を前提としていることを明らかにした。これらの論文の意義は、従来個別に研究されることが多かったジャリの作品を、象徴主義の複数性の磁場のなかに置きなおして検討した点にある。すなわち、ジャリのテクストを詳細に分析しながらも、それを相対化する視座を重視した点に、独創性がある。ジャリが提案する文学コミュニケーションのあり方も、根幹の部分では、読者の位置や、エクフラーシスの問題を重視する象徴主義のコミュニケーション論を踏襲したものであるといえる。ただ、ジャリはそこに語彙のレベルや表現のレベルで、独自のアレンジを加えているのである。このように、ジャリ作品のなかに、1890年代における象徴主義理論の受容例を具体的に探った点に、本研究の重要性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
発表と論文の公刊により、最終年度の研究の主要な目的であった「成果のまとめ」を遂行することができたため。また国内学会誌に投稿した論文がすべて採用となり、ひろく成果を報告することができたことに加え、フランスで開催された国際シンポジウムでも発表することができ、本研究の成果を、関心を共有する世界の研究者たちにも伝えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の完了をもって、アルフレッド・ジャリの作品の個別検討をじゅうぜんなかたちで進めることができた。今後、これをさらに発展させるべく、19世紀末の象徴派の小雑誌に関する研究を、2014年度から二年間の予定で、「若手研究B」の研究課題としてスタートさせている。これまでは、19世紀末に刊行された「単行本」の単位で検討してきた文学コミュニケーションやイメージの問題を、今後は「雑誌」の領域にまで広げて再検討を行う。これにより、単行本を検討するだけでは見えてこなかった、テクストを通じた作家間の交流や、象徴主義における複数性の問題を、メディア論というあらたな角度から検討することが可能となる。
|