ハーフメタル型電子構造を有するCo基ホイスラー合金の相安定性及び磁気特性の調査
Project/Area Number |
11J05578
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical properties of metals
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大久保 亮成 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ハーフメタル型強磁性体 / ホイスラー合金 / 規則-不規則変態 / 磁気モーメント / キュリー温度 / スピン分極率 / 一般化されたスレーターポーリング則 / 規則度 |
Research Abstract |
Co_2MnSiを始めとしたCo基ホイスラー合金は、比較的高いキュリー温度を持つと共に、第一原理計算により多くの合金系でハーフメタル磁性体となりうることが予測されていることから磁気抵抗素子の構成相として利用されつつある。しかし合金系によっては必ずしも理論通りの特性が得られるとは限らず、その原因として熱処理中の相分離や規則度の低下が報告されている。本年度は、より優れた特性を有するハーフメタル磁性体の開発を推進するため、Co基ホイスラー合金のB2/L2_1規則-不規則変態(T_t^<L21/B2>)を中心とした相安定性と磁気特性及びT_t^<L21/B2>が及ぼす合金薄膜の相安定性について調査することを目的とした。 Co_2CrSi合金のT_t^<L21/B2>は直接測定できないため、Co_2Cr(Ga_<1-x>Si_x)合金を作製して得られたT_t^<L21/B2>の組成依存性から直線外挿することでCo_2CrSi合金の仮想的なT_t^<L21/B2>を得ることが出来た。同様な方法で、Co_2Fe(Ga_<1-x>Si_x)およびCo_2Fe(Al_<1-y>Si_y)合金についても調査を行いT_t^<L21/B2>を得た。これらの結果と先行結果による3元系Co_2YZ合金(Y=Ti,V,Cr,Mn,Fe,Z=Al,Ga,Si,Ge,Sn)合金のT_t^<L21/B2>の結果と併せると、Co_2YAI系のT_t^<L21/B2>はCo_2YGa系合金のT_t^<L21/B2>と比較して全体的に約200K低いだけで、Y元素の種類によるT_t^<L21/B2>の大小関係の傾向が類似していることが明らかになった。またCo_2rSi系合金においてもY=Si,Mn,Feの場合おいて同様な傾向が得られていることからBWG近似が成立するような状況においてはほとんどのY-Zの組み合わせにおいてT_t^<L21/B2>を予測することが可能となった。 またCo_2(Ti_<1-x>Fe_x)Ga合金薄膜を作製し時効処理と規則度との関連性について調査した。Co_2(Ti,Fe)Ga合金薄膜において同じ熱処理温度で比較した場合、Tiの濃度が高いほど短い熱処理時間でL21相に規則化することが明らかになった。 バルク試料を用いた結果によれば外挿法を用いて決定したT_t^<L21/B2>はTi濃度の増加に伴い高い傾向を示すことが報告されており、合金薄膜試料におけるL2_1相の安定化に対応した結果であるといえる。その結果、薄膜材料の規則度は、バルク試料から見積もられたT_t^<L21/B2>と強い相関を持つことが明らかになった。以上より、本研究でバルク試料に対し外挿法により評価した仮想的なT_t^<L21/B2>は、規則度の高い合金薄膜を得るのに非常に有益な情報であると結論できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Co_2Cr(Ga_<1-x>Si_x)、Co_2Fe(Ga_<1-x>Si_x)およびCo_2Fe(Al_<1-y>Si_y)合金の相安定性および磁気特性を明らかにした。 またCo_2(Ti_<1-x>Fe_x)Ga合金薄膜を作製し、時効処理と規則度との関連性について調査することで薄膜材料の規則度がバルク試料から見積もられたT_t^<L21/B2>と強い相関を持つことが明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
Co(Ti,Fe)Ga合金薄膜の自発磁化の時効依存性を調査し、合金薄膜のハーフメタル特性について検証する。 またGa系だけでなくAl,Si系についても合金薄膜を作製し、これら合金系の相安定性について検証する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)