Research Abstract |
再生可能エネルギー電源の大量導入に伴う系統安定化対策としては蓄電池の設置が一般的であるが,蓄電池はその高コスト性からできるだけ設置容量を小さくすることが望ましい。そこで本研究では,再生可能エネルギーによる供給サイドの不確実性に,蓄電池の代替となりうる新しい需要家機器などの需要サイドの可制御性で対応していくというコンセプトのもと,日本型先進スマートグリッドとしての情報融合形ユビキタスパワーネットワーク構築を目的として以下の検討を行った。 まず,需要家機器であるヒートポンプ給湯機と電気自動車の可制御性に注目し,火力発電機群,蓄電池,ヒートポンプ給湯機群および電気自動車群による協調負荷周波数制御手法を提案し,その効果を検証した。ヒートポンプ給湯機と電気自動車を負荷周波数制御に利用することでより高い周波数変動抑制効果が得られることが分かった。 また,蓄電池のインバータ容量と周波数変動抑制効果の関係を調べることで,可制御負荷を用いた場合に削減できる蓄電池のインバータ容量を評価できることを明らかにした。 次に,可制御負荷のエネルギー消費に注目し,ヒートポンプ給湯機群の消費電力制御を短周期の需給変動の補償だけでなく長周期の需給変動の補償にも利用する新しい経済負荷配分制御手法を提案した。本手法を用いることで火力発電の運転コストが最小になるよう負荷周波数制御および経済負荷配分制御に利用するヒートポンプ給湯機群の運転計画を作成できることが分かった。また,作成した運転計画に従ってヒートポンプ給湯機群を運転・制御した場合の周波数変動についてもシミュレーションによって評価することができることを確認した。 本研究を通して,可制御な多数台の需要家機器を利用した電力系統需給制御が,我が国の将来の電力系統の制御体系の一つのあり方として実現しうるものであることが示された。
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