Project/Area Number |
11J06067
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
物性Ⅱ(磁性・金属・低温)(理論)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
増田 啓介 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 鉄系超伝導 / 多軌道電子系 / 重い電子系 / s波超伝導 / 変分クラスタ法 / 鉄系高温超伝導体 / 多軌道超伝導体 / 多軌道超伝導 / ペアリング対称性 / 超伝導機構 |
Research Abstract |
我々の本来の研究目的は、鉄系超伝導体における超伝導発現機構の解明にある。しかしながらこれは大きな問題であるため、近年は鉄系超伝導体が持つ「多軌道性」に着目し、「多軌道性を持つ物質で一般的にどのように超伝導が発現するのか」という問題について研究を進めている。本年度もこの問題について研究を行った。我々は前年度に引き続き、多軌道性を有する「重い電子系」と呼ばれる系に注目し、この系で発現することが期待される非従来型s波超伝導について詳細な解析を行った。このような超伝導の発現可能性は前年度に我々の研究において見出されたものである。しかしながら、このときの解析は最もシンプルな「平均場近似」と呼ばれる近似手法に基づいているため、より信頼性の高い手法で発現可能性を検証する必要があった。我々は本年度、「変分クラスタ法」と呼ばれる手法を2軌道超伝導の場合に拡張し、重い電子系の非従来型s波超伝導の解析を行った。この手法は強相関電子系のMott絶縁体相転移を記述することが可能であることから、平均場近似に比べ、多体電子系の電子間相互作用をより良く考慮できる手法であると考えられている。このような変分クラスタ法を重い電子系に適用した結果、系の粒子数がハーフフィリングから少し離れたパラメタ領域に非従来型s波超伝導相が存在することが明らかになった。またこのような非従来型s波超伝導と軌道反強磁性秩序が共存するパラメタ領域が存在することも明らかになった。我々は、非従来型s波超伝導の発現、およびこの超伝導と反強磁性の共存に、「異なる軌道間で形成される軌道間Cooper対」の存在が極めて重要であるという結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数値計算における問題が複数生じたことなどから、計算結果を得るのに予定以上に時間がかかってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの重い電子系超伝導の解析を通じて、多軌道系のs波超伝導発現機構についてある一定の知見が得られた。今後はこれを鉄系超伝導体の発現機構の研究に役立てていきたい。
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