Project/Area Number |
11J06089
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Geometry
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
阿部 拓 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2012: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2011: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | シューベルトカルキュラス / 重み付きグラスマン / orbifold / シューア多項式 / factorialシューア多項式 / コホモロジー環 / シューベルト類 / 運動量写像 / 凸性定理 / 超可積分系 / stack / 構造定数 |
Research Abstract |
本研究は以下の2つの研究課題,課題(a)シンプレクティック幾何における運動量写像の凸性定理の拡張の研究,課題(b)グラスマン多様体の変種についてのシューベルトカルキュラスの研究,から成る. まず、課題(a)については、昨年度すでに論文としてまとまった形で雑誌に投稿中であり、雑誌からの返事で要求された修正を行い、修正版を投稿中である。 本年度は課題(b)の研究を精力的に行った。この研究は韓国KAISTの松村朝雄氏との共同研究である。昨年度の研究によって、重み付きグラスマンのコホモロジー環において重み付きのシューベルト類を定義し、その構造定数を計算する公式を与えた。「研究の目的」にも記したように、本年度はシューア多項式とシューベルト類の関係を重み付きグラスマンに対して一般化することを試み、論文にまとめてpreprintを発表した。シューア多項式は対称多項式の中でも特に様々な数学に現れる対象であり、特にシューベルトカルキュラスでは、グラスマン多様体のコホモロジー環の中でシューベルト類を表す多項式として理解できる。すなわち、シューア関数はシューベルト類の親玉である。この状況を重み付きグラスマンのコホモロジー環とそのシューベルト類に対して一般化するため、我々はシューア多項式の変種を導入し、それが確かに重み付きのシューベルト類を表すことを示した。これにより、重み付きグラスマンのシューベルトカルキュラスも、このシューア関数の変種どうしの掛け算を自分自身で展開するという形で調べることが出来るようになった。これにより、シューベルトカルキュラスの問題が、コホモロジーというものを離れて単純に多項式同士の計算として理解されるので、この結果は重要である。また、この変種は本質的に、factorialシューア多項式とよばれるものを変形したものの特殊化として得ることが出来るので、 factorialシューア多項式の知識をフルに活用することで、重み付きグラスマンのシューベルトカルキュラスについて様々なことが明らかになってくるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重み付きシューベルト類をコホモロジー環の中で表す多項式が見つかったことにより、重み付きグラスマンのシューベルトカルキュラスの理解が一段と進行した。ただ、この多項式は新しい変数を1つ含み、その幾何的な意味がまだ十分に解明されていない。現在、この変数を用いない形での定式化を調べていて、それが完成すれば満足のいく形で理解できたと言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(a)では、主定理に現れる写像のファイバーの一般形を知ることや、Duistermaat-Heckmanの定理との関係などが今後の問題として挙げられる。課題(b)では、上記の新しい変数を含まない形での定式化を行うことが当面の課題である。また、計算した構造定数の幾何学的な意味や、表現論的な意味を調べることも課題として残されている。 重みなしのグラスマン多様体の場合は、シューベルトカルキュラスは一般線形群の表現論と密接な関わりを持っているので、この関係が重み付きグラスマンの場合にも一般化できれば非常に面白い研究となる。また、重み付きグラスマンは軌道体なので、Chen-Ruanコホモロジーの計算など、軌道体として調べるべきことは多い。また、整係数のコホモロジーに捩じれがあるかどうかも調べたい。
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