Project/Area Number |
11J06192
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野寺 香 東北大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 高大接続 / 国際化 / アメリカ / 中国 |
Research Abstract |
近年、グローバル化が急速に進展するなかで、留学生数は世界全体で増加しているが、とりわけ中国で高級中学(日本の高校に相当する)を卒業後に海外の大学へ進学する生徒数の増加傾向は特に顕著である。そして、中国都市部では、そうした生徒を対象として、Advanced Placement(以下、AP)プログラムを導入する高級中学がみられる。平成24年度は、こうした事例に着目し、アメリカの高大接続プログラムであるAPプログラムが中国の高級中学で展開される背景にある論理について分析した。 APプログラムは、その開始当初は、成績優秀な一部の生徒のみが対象であったが、現在、その運営主体であるカレッジボードはAPプログラムについて「エクイティ」と「エクセレンス」の両立を目標として掲げており、その結果アメリカ国内で極めて多くの生徒が同プログラムへ参加してきている。 そして、APプログラムが中国へ展開される背景にも、アメリカにおける中国人留学生に対する「エクイティ」という概念を適用していることが挙げられる点を指摘した。ところが、中国側からすると、APプログラムへ参加するには学力に加え財力も必要とされ、そうした生徒は中国国内における「弱者」としてのマイノリティではないことに鑑みれば、アメリカによる「エクイティ」という論理は成立していない。 一方、同プログラムの「エクセレンス」については、中国人生徒がアメリカの高等教育機関への留学を有利にするためには、AP試験で優秀な成績を収めることが必要であり、これはアメリカの高等教育機関が留学生の質保証を担う役割をAPプログラムに期待していることを意味する。これまでアメリカの高等教育機関の優越性はしばしば指摘されてきたが、そうした優越性が存在する限り、「エクイティ」というアメリカによるAPプログラムの拡大論理よりも、むしろアメリカの高等教育機関が質の高い中国人学生を獲得するための「エクセレンス」が強く機能していることを明らかにした。
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