Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は神経系がどれくらい情報を統合しているかを定量化する解析手法の開発、及びそれの実データへの適用を行った。神経細胞が独立に情報処理をしている場合は情報の統合がなく、神経細胞同士が互いに相互作用をし、相関を持って情報処理をしている場合には情報の統合がある。神経系における情報の統合は、様々な認知機能において重要な役割を果たしていると考えられるため、情報の統合の度合いを定量化することは認知機能の理解において重要である。特に、近年Giulio Tononi氏が提唱した統合情報理理論(IIT)によると、情報の統合の度合い(統合情報量)と意識レベルとが相関するという仮説が唱えられている。本研究では、麻酔下の猿の皮質脳波(ECoG)から統合情報量を計測することでこの予測を検証した。統合情報量はIITの元の理論のままでは計算量の困難から、実データにおける計算は事実上不可能であった。そこで我々は統合情報量を計算する、より実践的な方法を新しく提案した。この新たな手法を用いて、猿の脳表面全体から128個の電極を用いて記録したECoGデータで統合情報量の計算を行った。提案した新たな手法及びECoGデータの解析の結果に関して、論文をまとめ現在査読中である。この研究は、統合情報量に基づく、意識レベルの定量化を行う第一歩となる論文で、この研究を発展させることで様々な意識状態(睡眠・植物状態など)の意識レベルを定量化することができる可能性がある。この研究と並行して、IITの理論を発展させることをGiulio Tononi氏との共同研究によって行った。この論文に関しても執筆が完了し、現在査読中の段階にある。
(抄録なし)
All 2013 2012 2011 Other
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (6 results) Remarks (2 results)
PLoS ONE
Volume: (In press)
LiSA
Volume: 19 Pages: 352-359
Frontiers in Computational Neuroscience
Volume: 6
10.3389/fncom.2012.00014
http://www.brain.riken.jp/labs/mns/oizumi/