中世寺院史料に基づく儀礼分析を通した宗教的世界観形成の研究
Project/Area Number |
11J06498
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舩田 淳一 東北大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 中世寺院 / 儀礼 / 奈良 / 春日信仰 / 神仏習合 / 巡礼 / 死者 / 冥界 / 南都 / 春日 / 修験道 / 舎利信仰 / 西大寺 / 仏教 / 春日社 / 興福寺 / 講式 |
Research Abstract |
本研究は中世国家に影響力を誇った大寺社が儀礼という媒体を通じて、神仏信仰の種々の形態と、その背景をなす宗教的世界観を、広く民衆を含む在地社会に定着させていった過程について、これを思想史上の問題として論じるものである。そしてそのモデルケースとして、中世の奈良という文化圏を選定し、また春日信仰という要素を重視してきた。最終年度である平成25年度は、冥界・顕界という中世社会に広く共有された中世の宗教的世界観の形成過程において、山岳霊場寺院や修験道が重要なモメントとなっていたことを、文献史料調査と現地調査(フィールド・ワーク)の両面から明らかにした。以下、具体的に記述する。春日奥山は中世奈良(顕界)の都市民にとって「冥界」として観念されていた。その基盤には民俗学が論じてきたように、古代以来の素朴な山中他界観があることは無論だろうが、そこから単線的に中世的な冥・顕の世界観が形成されたわけではなく、春日奥山を行場とする修験者(興福寺・東大寺僧)による参篭や地蔵供養の儀礼の実践が不可欠の役割を果たしたていたことを、春日山石窟・地獄谷石窟など中世の石仏・石造遺物の現地踏査(5・6月に実施)と、東大寺・興福寺関係文書の分析(奈良文化財研究所・東京大学史料編纂所・国立公文書館内閣文庫で8・9・11月に閲覧)を通じて明確にした。そのことによって、一昨年前から関係史料の調査と分析を進めてきた、白毫寺(奈良市)の一切経会という儀礼の成立背景に、この春日山冥界観念が大きく作用していたという結論に至ったことは、重要な研究成果と言える。 また最終年度は、このような冥・顕という世界観の形成過程を、奈良以外の地域においても確認すべく、北部摂津地域の中山寺・清澄寺などの山岳霊場寺院の縁起説話(文献)の分析と、両寺の現地調査も行った(10月に実施)。このように中世的世界観の形成過程の解明にまで踏み込んだ、この度の成果は、最終年度に相応しい意義を有するものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)