アートプロジェクトが地域社会に付与する社会的価値の評価枠組みの構築
Project/Area Number |
11J06584
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Kobe University (2012) Ritsumeikan University (2011) |
Principal Investigator |
松本 文子 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 助教
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 地域計画 / アートプロジェクト / GIS / コミュニティアート / 社会的価値 / 地域振興 / Qualitative GIS / 創造性 / 地域づくり / ソーシャルキャピタル |
Research Abstract |
平成24年度の本研究の成果としては、第一に、アートプロジェクト開催地の住民5名に対して実施したインタビュー調査の結果を、カチナ・キューブというアプリケーションを用いて3次元空間上で空間的な検討を行ったことである。これは前年度にオハイオ州立大学で習得したQualitativeGISという手法である。結果、積極的にアートプロジェクトに参加する人は生活空間において変容があり、新しい空間の利用機会の増加や、それに伴う空間移動の拡大が確認された。これらの特徴は男性に顕著であり、女性においては空間移動には変容はなかったが、アートプロジェクトにおいての「自己実現」的機能があることが挙げられた。「自己実現」は本研究課題で対象とする「創造性」とも結びつく概念であり、さらなる調査により創造性の生成を明らかにできると期待できる。 次に、ハワイ州立美術館におけるコミュニティアートへの支援について調査し、芸術の有する社会的価値についての評価は国際的にはいまだ途上であるという現状を確認した。ハワイ州はPercent for Art Lawという、公共建築物への芸術作品設置に関する法律がアメリカ内で初めて制定された州であり、芸術の社会性について1967年という早い時期から認識されていたと考えられる。しかし、現在ソフト事業やコミュニティアートの支援をしているものの、ハード作品の設置や若手アーティストの育成が中心であり、日本のアートプロジェクトのような地域振興的機能はあまり想定されていなかった。 また、国際学会Association for Cultural Economicsの年次大会においては、'festival'のセッションにおいて座長をつとめ、海外の研究者と意見交換を行うことができた。この中で得られた共通認識としては、フェスティバルやアートプロジェクトの価値評価は数値評価やインタビューといった量的or質的評価のどちらかに偏りがちであるが、複数の研究者が協力して実施することにより、研究の意義や貢献性を高めることが必要ということであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、立命館大学が採択された「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」により、平成24年の6月から8月まで、ハワイ州立美術館におけるアートプロジェクトの調査を実施した。また、9月から神戸大学自然科学系先端融合研究環助教に着任し、これらの移動に伴う業務のため、当初の研究計画に含まれたアンケート調査が実施できなかった。しかし、海外調査および研究機関への就職は、長期的に見れば研究課題の発展に大きく寄与することが想定され、計画とは異なりながらも、海外比較研究および兵庫県下のアートプロジェクトの研究に着手するという新しい成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
直近の方策としては、平成24年度に実施できなかったアンケート調査を実施する。これは、これまで調査してきた大地の芸術祭を対象とするが、新しい事例にも取組む予定である。まず、規模や継続年数による比較対象として、秋田県上小阿仁村で開催されるKAMIKOANIプロジェクトを取り上げる。さらに、兵庫県下の農業構造物を利用したアートプロジェクトの企画のための事前調査を行っている。様々な事例を調査し、比較・検討・企画を行うことにより、芸術的価値と社会的価値を両立させる、創造的なアートプロジェクトおよび地域振興のあり方について、実践的に取組んで行きたいと考えている。このためには、調査費用と人材が必要であり、様々な研究費を獲得しなければならない。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)