Project/Area Number |
11J06592
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Developmental biology
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石原 潤一 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 多細胞性シアノバクテリア / パターン形成 / 数理モデル / ラマン散乱分光 / 糸状性シアノバクテリア / ヘテロシスト分化パターン / セルオートマトン / cell age / マルコフ過程 / 細胞系譜 / CAモデル |
Research Abstract |
私がモデル生物に使用する糸状性シアノバクテリアは、光合成を行う栄養細胞を1次元状に連ねることで多細胞体制をとり、培地から窒素化合物を除去すると、窒素固定を行うヘテロシスト細胞をほぼ10細胞ごとに分化させる(ヘテロシスト分化パターン)。細胞レベルで観察される分裂・分化ダイナミクスや細胞間相互作用により、どのようにヘテロシスト分化パターンが形成・維持されるか解明するため、数理モデルと顕微鏡観察結果とのフィードバックを繰り返す。最終的に、形態形成現象を普遍的に理解するための新規数理モデルの作製を目指す。 今年度は、第1~2年度に行った研究を論文化する準備を行った。その過程で、ヘテロシスト分化パターン形成の初期と後期段階では、分化が細胞の成熟に非依存/依存して起こることを厳密な統計解析から示した。これらの現象は、分化促進遺伝子の発現プロファイルからも示唆され、私たちの作製した数理モデルの妥当性を強く主張する結果となった。また、分化パターンが維持されるために、ヘテロシストによる側方抑制が最も影響することを理論的に示し、他のグループから報告されている変異体の表現型を再現することにも成功した。 さらに、第2年度から始めた「ラマン散乱分光計測による分化パターン形成ダイナミクスの解析」を論文発表した。栄養細胞特異的に発現するラマンバンド成分を解析することで、一度分化しかけた細胞はその履歴を残さないことを明らかにし、細胞間相互作用を介してヘテロシスト分化が調節的に決定されることを示した。これらの解析結果は、数理モデルを作製するうえで仮定したことを現象的に支持することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1-2年度に行った数理モデルの研究を論文化する準備を行い、私たちの主張をより強く正当化するために十分な統計解析を行った。また、並行してラマン散乱分光計測による分化パターン現象の解析を行い、論文化するところまでまとめられた。特に、数理モデル研究との接点を見出すことができ、当初の目標としていた理論と実験のフィードバック作業を十分に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
数理モデルの論文は、発表の準備段階にあるため、正式に発表することを目指す。 ラマン散乱分光計測による分化パターン形成の解析では、各細胞から検出されたラマンスペクトルを主成分分析し、PC1-2値をscatter plotすることで、栄養細胞から不可逆的にヘテロシスト分化する過程を状態遷移として捉える。このとき、今まで定義が難しかった分化前駆細胞の状態を定義し、可逆的に分化した状態と不可逆的に分化した状態を明確に線引きする。フィラメント内の各細胞の位置(空間構造)も併せて考えることで、分化細胞がモザイク的に決定されるのか、それとも調節的に決定されるのかを改めて厳密に議論する。これらの成果を論文発表する予定である。
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