Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は超音速旅客機に特有のソニックブーム騒音問題に対して,感覚量評価に基づく静穏性の高いソニックブーム波形を探索することである.昨年度は地上へ到達したソニックブーム波形に着目し,感覚量評価に用いられるラウドネス値や各種騒音値を計算可能なコードを構築した.また感覚量評価後の波形は音声データへ変換され,音を体感できる簡易型ソニックブーム騒音体感システムを試作した. 本年度はソニックブームの伝播解析手法に,気象と地形のモデルを導入することで高精度ソニックブーム推算モデルの構築に取り組んだ.本コードは気象条件にレーウィンゾンデ気象観測データと再解析データECMWFの2種類が利用できる.両気象データを比較した結果,高度30[km]以下でよい一致を示したことから,本モデルで用いた気象データの信頼性を確認した. 次に1年分のレーウィンゾンデ観測データ(2007年3月~2008年2月)を用いて,典型的なN型波形を生じる超音速機を想定し,機体直下方向に伝播するソニックブームを評価した.地形条件として高度変化を考慮した.結果からソニックブームの季節変動と高度変動を明らかにした.また標準大気条件がソニックブームを過大評価していることを確認した.これらの成果を国際非線形音響学会で発表し,同分野の欧州および米国の研究者と議論を交わした.互いに改めて重要性を認識した点が二つある.一つは,将来の超音速機の実現を目指す上で,飛行プロファイルを設定し,気象と地形の影響を考慮した現実的なソニックブーム評価を行うことが重要であることである.二つ目は,標準大気条件下で低ブーム機体設計を行った後には,その低ブーム効果が環境下でも有効かどうか確認する必要があることである.我が国が世界に先駆けて革新的超音速旅客機を実現する上で考慮すべき項目といえる.
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