Project/Area Number |
11J07329
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山中 聡 関西学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2012
|
Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | フランス革命 / 宗教 / ライシテ / 戦没将兵 / 文化 / 「礼拝の自由」 |
Research Abstract |
本年度に行った研究の成果を、以下、時系列で述べる。まず、研究代表者は2012年4月28日、東京恵比寿の日仏会館で行われたシンポジウム「フランス革命史の現在」に参加し、研究発表を行った。このシンポジウムは、若手・中堅の研究者による発表を通して、日本のフランス革命研究の最先端を公衆に伝えることが目的である。当日は、多くの参加者が集まり、活発な議論を展開した。 その後、関係者の間で、同シンポジウムの内容を出版することが決定した。タイトルは同じく『フランス革命史の現在』であり、出版社は山川出版社である。研究代表者も一章を担当することになり、2012年の5月から9月にかけて、論文を執筆した。論文のタイトルは「共和国フランスは神を求める」である。2012年末、論文を編者に送り、査読に合格した。これらの活動は、「テルミドール9日以降の国家と宗教」という、科研費の研究課題に直結するものである。すなわち、法制的には国家と宗教が分離されたはずのフランス共和国において、宗教による国民統合が推進されていた点を明らかにしたのである。なお、研究代表者は昨年度と同様、本年度の7月から9月にかけて渡仏し、史料調査を行うことにしていたが、インターネットで予備調査を行ったところ、訪れる予定の文書館に収蔵された史料が、有用性に乏しいとの結論に達した。そのため、2012年の7月から9月にかけての期間は、前述の論文の完成度を高めることに専念した。 続いて、研究代表者は新しい研究に着手した。革命期における戦没将兵の顕彰と追悼を巡る動きの考察である。戦没者に対する慰霊や顕彰、および追悼は、近代国家の成立を理解する上で不可欠の分野である一方、フランス革命戦争ではほとんど研究されていない。そこで、研究代表者は2012年の8月から研究を開始し、一部の成果を12月16日、フランス史研究会(於お茶の水女子大学)で発表した。これもまた、国家と宗教の関係を知る際に重要な意味を持つものである。当日は、多くの参加者から貴重な助言を頂き、大いに参考になった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」で掲げていた海外での史料調査は、予定していた史料の質にかなりの問題があり、実行に移す意味が薄れたため、取りやめた。その一方、論文集という形で、今年度の研究成果を公表できるようになったことは、大きな収穫であった。学術誌と同様の査読があるため、研究上の価値は十分に有していると思われる。また、今年度は、「フランス革命期における戦没将兵の顕彰と追悼」という、新たな研究テーマを見出すことができた。これは研究成果を、日本史も含め、多くの研究者に幅広く共有できるものである。研究代表者の研究は、新たなステージに立つことになった。そのような意味で、当初の計画以上に進展しているといってよいだろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究課題である「テルミドール9日以降の国家と宗教」は、国家と宗教に関する法制だけでなく、戦没将兵の顕彰と追悼という新たな方向性を得たことで、さらに幅広い射程を持った。そのため、利用する史料の質・量が大幅に変わることとなった。海外での史料調査も、一から計画を練り直さなくてはならないだろう。現在インターネット検索等を通して、利用できる史料を調査中である。加えて、戦没将兵の顕彰と顕彰は、フランスだけでなく、ヨーロッパ、アジアで広く見られる現象であることから、今後は西洋史の学会、研究会だけでなく、日本史、東洋史の学会、研究会にも出かけ、できれば研究発表を行い、様々な批評・批判を受けて、研究の密度を高めていかなければならないだろう。
|