コミュニティの監視化と自生的な規範の生成に関する社会学的研究
Project/Area Number |
11J08096
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology
|
Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
朝田 佳尚 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2011
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
|
Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | コミュニティの監視化 / 監視社会論 / 地域社会の変容 / 日常実践 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代日本において監視カメラの設置やゲーティッド・コミュニティの建設という「コミュニティの監視化」が進展するのはなぜなのかという問いに答えることである。また、こうした監視化が進む中で、それとは異なる論理をもつ人びとの実践をすくいとり、その現代的な意義を明らかにすることである。 この目的を達成するために、研究代表者はまず従来の都市部を中心とした調査結果を、理論的な諸研究から位置づけ直し、その意義を明確化するとともに、他の監視機器に比して監視カメラの普及の度合が高いことや、監視カメラに社会の関心が集まる様子を表すデータを検討した。それにより、「コミュニティの監視化」が起きる機制とその社会的な背景を明らかにしようとした。この成果については論文としてまとめ『現代の社会病理』誌で発表した。また夏期には国際犯罪学会の発表を行った。研究代表者は、本研究計画に直結する国際セッション「Surveillance and the Reorganization of Community」を企画し、発表者を公募してセッションを開催した。 セッションではグローバルな観点からも監視社会研究の重要性が高まりつつあることを確認するとともに、今後は比較研究に向けた調査・研究手法の構築が必要だという点でも発表者の意見が一致し、国際的な研究協力に向けた基盤を整えることができた。またこれと同時期に農村部における調査を実施した。近年では農村部でも安全・安心に対する志向性は高まっており、一部では監視カメラの設置も行われている。そして、こうした設置の際には、地域振興などを目指した新たなコミュニティが関わることも多い。だが、農村部ではそうした状況をな揺るがす日常的な実践の存在も見て取ることができた。そこで、そうした実践を現代の社会編成と生活領域のせめぎ合いの中で生起するものと位置づけ検討を行った。こうした社会編成と生活領域のせめぎ合いについては、監視カメラの歴史的な変遷についての発表を行った日本犯罪社会学会でも言及し、今後の監視社会研究においての重要な論点になりうることを示した。またこうした作業と並行して、冬季にはシドニー大学で開催された「日常生活と・における監視」会議に参加し、監視社会研究の第一人者であるカナダのクイーンズ大学のデビット・ライアン教授に会い研究成果を紹介するなど、今後の海外展開を見据えた活動も行ってきた。 このように、研究代表者は年間を通して活発な研究活動を行ってきた。それにより、研究期間の短縮がありながらも、当初の研究目的に一定の解答を与えることができた。こうした活動の成果は国際的な監視社会研究の協力関係としても結実しており、当該分野において重要な意義をもつものだったと考えている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)