Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
鳥類における脳形態と頭蓋形態がどのように共変化するのか,三次元幾何学的に解析するために,本年度も引き続きCTスキャナを用いて様々な種における頭蓋の撮影を行い,得られたCT画像からバーチャル脳形態及び頭蓋形態のデータを取得した.また,現生鳥類だけでなく,上記の手法を用いて,国内から産出した絶滅鳥類のデータも取得した. 生物における形状を評価する上で,形状を大きく変える要因としてサイズがある.よって,三次元幾何学的に脳形状とサイズとの関係を調べた結果,サイズは有意に形状に影響を与えていることが明らかとなった.続いて,そのサイズに寄る形状変化を除去した上で,脳形状と頭蓋形状との共変化パターンを調べた.その結果,丸い脳を持つ鳥の眼窩は丸く,一方,細長い脳の鳥は細長い眼窩を持っていることが明らかとなった.鳥類の眼は重要な情報入力器であり,その鳥の生態と大きく関わっている.そのため,眼窩形状と脳形状が互いに影響を及ぼしているということは,鳥の生態や行動様式の違いが脳にも形状の違いとして現れる可能性があることが明らかとなった. 次に上で得られた知見を絶滅鳥類に用いて,絶滅鳥類の脳形態からできるだけ多くの情報を引き出すことを試みた.本年度は,主に九州から産出したプロトプテルム類の脳形態を現生水鳥類のものと比較した.その結果,プロトプテルム類の小脳幅や小脳片葉幅は現生のペンギン類に匹敵する大きさであり,またその他の形態学的特徴の多くがペンギン類のものと合致することがわかった.神経系はその動物の系統を大きく反映していると言われていることから,本研究の結果は,プロトプテルム類とペンギン類は非常に近縁な関係であったということを示唆している. 以上のように本年度の研究によって,現生鳥類だけでなく絶滅鳥類における脳形態の解析に成功し,さらに形態学・系統学的に有意義な結果を得ることができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り頭蓋形状と脳形状との共変化パターンを明らかにしただけでなく,脳形状と生態との関係性についても明らかにすることができた.また最終目標であった,絶滅種への応用にも成功し,脳形状と分類との関係性についても解明することができたため,計画以上の結果が得られたと考える.
|