Project/Area Number |
11J08775
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics/Art history
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
甲斐 義明 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
|
Keywords | 写真史 / スナップ / 日本近代美術史 / 美術史 |
Research Abstract |
当初の研究計画に沿って、「戦後写真の日米間交流と「スナップ」写真の展開」について作品調査および資料調査を遂行し、研究成果については東京国立近代美術館発行の論文集や国際交流基金主催のシンポジウム等にて発表した。本研究は、日本の写真史において、手持ちカメラで撮影された瞬間写真を意味するスナップが独立したジャンルとして確立し、それが日本写真の伝統を形成していった過程について、その詳細を明らかにすることを目的としている。また、そのためには日本の代表的なスナップの作例だけではなく、それらに大きな影響を及ぼした同時代のアメリカ写真の分析が不可欠であるという観点から本研究は構想されている。本年度の研究では昨年に引き続き木村伊兵衛、土門拳、森山大道らによる日本の代表的なスナップ写真作品の研究を行ったが、被写体に気づかれずに撮影するキャンディッド・フォトの撮影手法がはらむ倫理的問題について新たに注目した。肖像権について以前はどのように理解されてきたのか歴史的経緯を検討した結果、とりわけ土門拳がこの問題についてしばしば言及していることが明らかになった。土門にとっては事前の承諾を得ずに撮影することは、演出を排除した「リアリズム写真」のための必要条件であったが、その一方で、そのような撮影方法が被写体の人権を侵害する可能性があることを認識していた。そのジレンマが特に露呈したのは筑豊炭田の炭鉱夫の家族を取材した作品集『筑豊のこどもたち』であった。これらの知見については東京国立近代美術館発行の『実験場1950s』に寄稿した論文、「土門拳とリアリズム写真――「絶対スナップ」のジレンマ」で発表した。
|