Project/Area Number |
11J09248
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)(実験)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 大 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 物性実験 / 半導体物性 / 低温物性 / 整数量子ホール効果 / エッジチャネル / エッジマグネトプラズモン / 朝永-ラッティンジャー液体 |
Research Abstract |
本研究では、半導体ナノ構造における電子状態を高速エレクトロニクスで制御・検出することにより、新規的な高周波量子輸送現象を観測することを目的としている。特に、1元伝導体である量子ホールエッジチャネルにおいて電荷密度波(エッジマグネトプラズモン;EMP)の伝播特性は、エッジチャネルにおける電子間相互作用に強く依存するため、EMPが複数のエッジチャネルを伝播するとき、エッジチャネルの空間的配置に依存してフェルミ流体と朝永-ラッティンジャー流体(TLL)の特性が競合した量子輸送現象が期待される。本年度の研究では、申請者がこれまでに提案・実証してきたEMPの時間分解測定法を用いることにより、量子ホールエッジチャネルにおいてTLL模型で予測される電荷分断化現象の特徴を観測することに成功した。 本測定では、対向する2つのエッジチャネルを負に印加したゲート電極を隔てて近接させ、チャネル間のトンネリングは無視できるが、クーロン相互作用で結合した相互作用領域を形成する。一方のチャネルにパルス状の正電荷を注入すると、もう一方のチャネルで小さいパルス状の正・負電荷が時間差をおいて観測された。ここで、相互作用領域をTLLとして考えると、これらの電荷はTLLの境界で分断化された電荷であると理解できる。さらに、シミュレーションによって、その電荷の大きさは試料の構造で決まるチャネル間のキャパシタンスの大きさに依存することを確認した。 ゲート電極の形状を最適化することにより、静電的に制御可能なTLLを実現できると考えられ、電子の持つスピンと電荷の自由度が独立な素励起として振る舞う「スピン・電荷分離」の観測が量子ホールエッジチャネルにおいて可能になると期待される。
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