18世紀メキシコの地域社会における民衆信仰とネットワーク
Project/Area Number |
11J09387
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Research Fellow |
和田 杏子 青山学院大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2011: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | メキシコ / 植民地時代 / インディオ村落 / 地域社会 / 分村 / 共同性 / 植民地時代史 / 聖地巡礼 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、植民地期メキシコのインディオ村落共同体が変容していく際の論理を、村落共同体の細分化(分村)と広域的協調との両面から明らかにすることで、植民地状況比較研究上の革新を試みることである。方法としては、従来の数量的、結果論的アプローチを排し、民衆信仰にみられるアイデンティティのあり方と地域社会の政治にみられるアイデンティティのあり方との連関を、聖と俗の二つの側面から通時的に追った。 聖地をめぐって争われた訴訟の史料については、三事例中一事例の分析が済んでいる。分析対象である18世紀後半の聖地マペテを中心として生起した広域的協調は、先行研究者の主張する宗教的連帯というよりはむしろ、鉱山業の盛衰に伴い経済的・社会的成熟を遂げた当該地域社会が、地域秩序の危機に対処した結果の「政治的」連帯であったことが明らかとなった。 世俗的側面からのアプローチでは、収集済みの史料から、各地域において属邑が主邑から分離する際には主邑との政治的な軋礫が生じており、それらが教会建設などにみられる新たな宗教的連帯の創出を伴っていたことがわかっている。 今後は、政治的利害、地理的・生態的な条件、民族性、経済的な成熟の度合いが、村落共同体内外の重層的なアイデンティティの変容にいかなる影響を及ぼしていたのかを分析し、全五事例の時代的・地域的偏差を明らかにすることで、植民地期メキシコにおける共同性の発露をめぐる議論に貢献したい。 最後になるが、本研究に不可欠な要素であるメキシコでの一年間を通じての資料調査と、現地の研究機関での毎週の学術交流を可能としてくれた本研究奨励事業に、大変感謝している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画段階の想定以上のデータが得られたため、日本語で論文を執筆・公刊する時間をとれなかった点では、研究が遅れていると言える。そのため、帰国後には研究計画を立て直し、より長いスパンで本研究を継続し、博士論文の完成を目指すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の手順で残された作業と論文執筆を進め、本研究の完成を目指す。平成24年4月から7月にかけて、未分析の二聖地について史料の読解と分析を行い、各聖地の地域的特色を明らかにする作業を行う。その後、同年8月から翌年3月にかけて、先述の五行政区についての事例分析を進める。平成25年4月からの一年間を投じてこれらの研究成果を博士論文としてまとめることで、18世紀メキシコの聖地崇敬とインディオ社会の構造的な変容との連関とそのダイナミズムを明らかにしたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)