19世紀終盤から20世紀中盤までのフランスにおける理性主義と感性主義の相互運動
Project/Area Number |
11J09649
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
石川 学 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | コンバ / ティエリー・モーニエ / アンドレ・ブルトン / ジョルジュ・バタイユ / 神話 / ファシズム / フランス文学 / シャルル・モーラス / ポール・ヴァレリー / 実証主義 / モーリス・バレス / アンリ・ベルクソン / マルセル・プルースト / ダダイスト / ルイ・アラゴン |
Research Abstract |
本年度はまず、『コンバ』誌の中心人物である、ティエリー・モーニエの思想を、理性主義と感性主義のせめぎ合いという、本研究の主題との関係で読み解いた。1934年2月6日の極右暴動事件を契機として次第に顕著になる、モーニエの国民社会主義的な傾向は、しかし、街頭行動の積極的肯定にもかかわらず、集団的熱狂の価値の否定と、全体主義的な「神話」の価値の否定、理性への信頼と不可分に結ばれていた。その思想を特徴づける、知への依拠の重視が、戦時下にあっては、ファシズムとのありうる近接性を凌駕し、結果として一定の政治的節度をモーニエに与えたことを、本研究は明らかにした。 続いて本研究は、アンドレ・ブルトンとジョルジュ・バタイユにおける、理性と感性の通庭を図る目論見の実践を、両者の思索の結節点を探る視座から検証した。ブルトンによる「自動記述」や「客観的偶然」をめぐる文学上の議論は、無意識を舞台に、内的世界の変容と外的世界の変容とがひとつに繋がれる理路の探求が行われていることの証左である。バタイユにとってもまた、同様の探求が問題となるのだが、バタイユが選択するのはより学問的なアプローチであり、フロイト理論や社会学の知見を応用して、内外の世界の変容の一体性が論理化される。こうしたなかで、反ファシズムの意志の一致に基づく、「コントル=アタック」でのブルトンとバタイユの共闘が実現するのである。活動が瓦解して以降も、意識と無意識、知的了解と情動とを通庭させることによる、主体と外界の変革の希望は、「神話」を通じて結集する共同体への要請というかたちで、この両者に担われる。ファシズムによる蹂躙を経ての、ブルトンにおける「新しい神話」、バタイユにおける「神話の不在の神話」というそれぞれの結実において、二人の作家の思想が本質的に連絡し合うことを、本研究は最終的に結論した。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)