Osborne-Mendelラットの糸球体足細胞障害に関わる新規RAS分子の同定
Project/Area Number |
11J09653
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Basic veterinary science/Basic zootechnical science
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Research Institution | Azabu University |
Research Fellow |
安野 恭平 麻布大学, 獣医学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | Osborne-Mendelラット / 腎糸球体足細胞 / レニン・アンジオテンシン系 / アンジオテンシンII / アンジオテンシンII type1受容体 / 糸球体傷害 / 足細胞 |
Research Abstract |
【緒言】慢性腎不全の起点ともいえる足細胞障害の機序については不明な点が多く、その病理発生の解明が待たれている。Osborne-Mendel(OM)ラットは比較的早期に糸球体傷害を発症する系統で、病変形成の引き金として糸球体足細胞の障害が重要であると考えられるが、詳細な研究は行われていない。本研究ではこのOMラットの足細胞障害に関連する新規レニン・アンジオテンシン系(RAS)分子を同定し、足細胞障害と糸球体傷害の進行機序の解明に資することを目的として研究を行った。 (1)降圧剤の投与によるOMラットの足細胞障害の修飾:OMラットにRAS阻害薬であるRAS阻害薬とRASに作用しない血管拡張薬Hydralazine(HYD)を投与した。その結果、いずれの投与群においても同程度の降圧作用が確認されたのにもかかわらず、HYD投与群ではRAS阻害群と比較して十分な足細胞障害抑制効果が認められなかったことから、OMラットの糸球体傷害は血圧非依存性であり、足細胞障害にRAS、特にアンジオテンシンII(Ang II)とその受容体(Ang II type1受容体;ATIR)が足細胞障害の病理発生に関与していることが示唆された。 (2)In vitroにおけるOMラットの足細胞の性状の検索:次にin vitroの系を用いて足細胞の組織RASに焦点を絞り、OMラットとF344ラットの足細胞を単離・培養し、その性状を比較した。その結果、OMラットの培養足細胞は他系統のそれと比べATIRの発言量が高く、Ang IIに対する感受性が高い可能性が示された。 さらに、両系統の培養足細胞の培養液中にAng IIを添加し、nephrin mRNA発現量と足細胞のアクチン細胞骨格への影響を評価した。その結果、Ang II刺激によるnephrinmRNA量の発現低下は両系統の培養足細胞で誘導されたが、OMラットでより有意な低下がみられた。また、OMラットではアクチン細胞骨格に再編がみられた。なお、これらのAng II誘導性の作用はAng IIアンタゴニストを同時に添加することにより抑制された。 (3)in vivoにおけるATIRの発現量の比較:OMラットの足細胞におけるATIRの発現量を免疫電顕を用いて他系統のそれと比較したところ、OMラットではATIRの発現量が高いことが示された。また糸球体中のAT1R mRNA発現量も他系統と比べ、有意に高いことが示された。 【結語】OMラットの足細胞はAng IIに対するレセプター、ATIRの発現量が高く、細胞局所におけるRASの活性化により足細胞の細胞骨格の再編が生じ、足細胞障害とGBMからの剥離と減少、糸球体傷害と慢性腎不全が誘導されていることが示唆された。足細胞障害の進行機序には組織RASの活性化に対する足細胞の感受性と、その細胞骨格の変化が重要であり、これらを治療標的とすることが足細胞障害の抑制に有効であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では足細胞障害にかかわる新規のRAS分子を同定することを目的としたが、本ラットで示された足細胞障害に関わるRAS分子は既知のアンジオテンシIIとその受容体(アンジオテンシンII type1受容体)であった。そのため、実験の方向性を転換し、アンジオテンシンII誘導する足細胞障害のメカニズムをin vitroの系を用いて探索した。結果的にアンジオテンシンIIは足細胞骨格に作用して、足細胞の機能と足細胞関連タンパク質の発現量に影響を与えることが示唆されたが、アンジオテンシンIIが細胞骨格に作用を及ぼす過程の伝達経路の特定にまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、アンジオテンシンIIが足細胞の細胞骨格の再編を誘導する過程で活性化される伝達経路の特定がされておらず、今後はその経路を解明することが重要となる。他の報告を参考とするとRhoタンパク質ファミリーが深く関与することが予想され、RnoA、Rac1、cdc42を中心にその発現量を解析していく必要がある。OMラットにおいてこの伝達経路の特定がなされれば、本研究の臨床応用の幅が広がることが予想される。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Development of Podocyte Injuries in Osborne-Mendel Rats is Accompanied with the Reduction of Podocyte Proteins : Nephrin, Podocin, Synaptopodin, a-actinin-4, and α3β1-integrin.2013
Author(s)
Yasuno K, Araki S, Sakashita H, Kobayashi R, Baba T, Kawakami H, Kamiie J, Ogihara K, Shirota K.
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Journal Title
Journal of Comparative Pathology
Volume: (Epub ahead of print)
Issue: 2-3
Pages: 280-290
DOI
Related Report
Peer Reviewed
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[Journal Article] Atypical canine mammary adenoma characterized by cystic ducts comprising a single layer of basaloid cells with myoepithelial differentiation.2013
Author(s)
Yasuno, K., Kobayashi, R., Mineshige, T., Sugahara, G., Nagata, M., Kamiie, J. and Shirota, K.
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Journal Title
The Journal of Veterinary Medical Science
Volume: (in press)
Related Report
Peer Reviewed
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[Journal Article] Membranous glomerulonephropathy in a Hatano low-avoidance rat.2013
Author(s)
Yasuno, K., Sakashita, H., Kobayashi, R., Araki, S., Saito, R.,, Shirota, M., Kamiie, J. and Shirota, K.
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Journal Title
Journal of Toxicological Pathology
Volume: (in press)
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Peer Reviewed
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[Presentation] Inreaepidermal cytokeratin CAM5.2-positive cells in dog nipples.2012
Author(s)
Yasuno, K., Kobayashi, R., Yoshimura, H., Takahashi, K., Ohmachi, T., Kamiie, J., and Shirota, K.
Organizer
30th Meeting of the European Society of Veterinary Pathology of the European College of Veterinary Pathologists
Place of Presentation
Leon, Spain
Year and Date
2012-09-07
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