マウスを用いた嗅覚情報処理における神経回路の分子基盤の解明
Project/Area Number |
11J09659
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 真理 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 嗅神経細胞 / 神経回路形成 / 軸索ガイダンス分子 / Robo1 / グリア細胞 / 神経回路 / 嗅覚系 / 僧房細胞 |
Research Abstract |
哺乳類は外界の情報を、脳において2次元の神経地図という画像に変換して識別している。マウス嗅覚系では、鼻腔の嗅上皮に存在する嗅神経細胞(嗅細胞)は、約1000個ある嗅覚受容体遺伝子のうち、それぞれ1種類のみを発現する。また、同じ嗅覚受容体を発現する嗅細胞の軸索は、嗅球において特定の箇所に収敏して糸球を形成する。従って、嗅上皮で受容された匂い情報は、嗅球において約1000個ある糸球の発火パターンという神経地図に変換される。この神経地図形成において、嗅上皮における嗅細胞の位置と嗅球における投射先との間に、空間的な対応関係が存在する。しかしながら、背側嗅細胞がどのように投射経路を見出し、背腹軸投射の基点となる嗅球上の位置を定めるのか、という問題は未解決のままであった。本研究では、嗅細胞軸索の初期投射に関与することが示唆されていた軸索誘導受容体Robo1がどのように機能するのかを解明した。 本研究ではまず、Robo1欠損マウスを解析した。その結果、背側嗅細胞の軸索が嗅球腹側にも誤って投射することが判明した。次に、Robo1の発現解析をした結果、嗅細胞ではなくグリア細胞で発現が観察された。更にRobo1陽性グリア細胞は、嗅上皮から嗅球に向かって伸長する嗅細胞の軸索に付随して、嗅上皮から嗅球へ運ばれることが判明した。また、Robo1の反発性リガンドであるSht分子の発現を解析した結果、嗅細胞軸索の投射経路の外側領域で発現することが観察された。これらの結果から、Robo1陽性グリア細胞が背側嗅細胞の軸索に付随して、Robo1/Slitの反発性相互作用により軸索を嗅球背側へ誘導することが示された。本研究で明らかにされた、嗅細胞の軸索に付随したグリア細胞による投射誘導は、これまでに知られていない神経投射機構として極めて重要である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)