社会問題としての「差別」の構築に関する研究:エチオピアにおける人権擁護の実践から
Project/Area Number |
11J09777
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Research Fellow |
吉田 早悠里 大阪府立大学, 人間社会学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | エチオピア / マイノリティ / 差別 / 人権 |
Research Abstract |
本研究は、エチオピア南西部カファ地方に暮らすカファとマンジョの事例から、ローカルな地域の社会・文化的背景に根差した社会関係が、国際的な人権擁護思想のもとで「差別」として概念化され、人権を脅かす社会問題として形成されていく過程を明らかにすることを目的とするものである。 最終年度にあたる本年度は、昨年度に引き続き文献研究と現地調査によるデータの収集・整理を実施した。そして、「差別」の語彙に注目して、カファ社会において人々が「差別」の語彙をどのように翻訳し、活用しているのかについて検討した。その際、カファ地方に暮らすカファとマンジョのみならず、エチオピア政府、キリスト教会、NGOをはじめとする支援機関などの多様なアクターも視野に含めた。その結果、エチオピア政府、キリスト教会、支援機関といったアクターがカファ社会に「差別」の語彙をもたらしていたことを明らかにした。ただし、「差別」の語彙の理解や活用の仕方は、アクターによって必ずしも同一ではない点には注意が必要であることを指摘した。そして、もともとは慣習的な忌避関係にあったカファとマンジョの関係を「差別」の語彙によってとらえることが、「差別」の実体化を促していることを明らかにした。 本年度は、研究成果の公開・発表にも力を注いだ。中部人類学談話会や国際シンポジウムにおいて、日本語での口頭発表、英語でのポスター発表を実施した。また、2011年度に名古屋大学大学院文学研究科に提出した博士論文を加筆・修正し、『誰が差別をつくるのか ――エチオピアに生きるカファとマンジョの関係誌』と題した単著としてまとめ、春風社から出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2011年度に名古屋大学文学研究科に提出した博士論文に加筆・修正をし、単著としてまとめ、出版した。これまでの研究を総括した単著の出版は、研究成果の公開や社会への還元という点において、極めて重要な意味を持ち、研究計画・目的を予定通り達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、エチオピア南部諸民族州カファ地方に暮らすマンジョを研究対象とした。ただし、マンジョはカファ地方のみたらず、エチオピア南西部の広範囲に暮らしている。そこで、それぞれの地域に暮らすマンジョの間での共通性や関係性、それぞれの地域のマジョリティとマンジョの関係について検討することで、本研究の成果をより深めることができると考える。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)