高密度地震観測データ解析に基づく、伝播・増幅特性の定量化と強震動予測の応用
Project/Area Number |
11J09819
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Solid earth and planetary physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
竹本 帝人 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | サイト増幅特性 / 表層地盤 / 地震波 / コーダ波 / 高密度データ / 震源特性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大地震による強い揺れ(強震動)予測のための重要な要素の一つである表層地盤のS波増幅特性について、コーダ波を用いた「コーダ規格化法」解析から大地震の前後の時間変化を明らかにすることである。本研究では、まずコーダ波の増幅特性と、強震動を引き起こすS波の増幅特性が同じであることを確認するために、二つの地震波を用いて調査し、地震波増幅特性の比較を行ったところ、1-10Hzの間で両者はよく対応することを確認した。そこで、Takemoto et al.(2012)の手法を用いて、2011年東北地方太平洋沖地震の余震の観測データを用いて観測点毎に地表付近の表層付近のS波増幅特性とその時間変化を、地震前のデータと地震後2~3週間の二つのデータセットを用いた解析から推定した。この期間に起きた5個の地震を選び、東北地方の76点のK-NET観測点データと9点のKiK-net観測点のデータを用いて、インバージョン解析により周波数0.5-8Hzのサイト増幅特性を詳細に解析した。推定された地表付近のS波増幅特性を本震前(Takemoto et al., 2012)と比較したところ、S波増幅係数が全ての周波数帯で本震前の0.6倍-1.4倍の範囲で変化している可能性が明らかになった。しかしながら、本震前後における表層付近の地震波増幅特性の変化の大小はランダムな分布となり、強い揺れにより地盤が変化したと期待される軟弱地盤や変化が起きないと考えられる硬質岩盤などとの地質的な関係は確認できなかった。また、求められた地震波増幅特性の変化は異なるデータセットを用いた場合の地震波増幅特性とのバラツキと同程度であった。このことから、本震前と本震後のサイト増幅特性の変化は、あったとしても解析誤差より小さい程度のものであったと結論づけられた。また、本震によって表層付近の地震波増幅特性が変化していたとしても、地震から2-3か月以内にもとに戻っていた可能性も残る。 以上の成果は、日本地球惑星科学連合大会および日本地震学会秋季大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたコーダ波を全国のサイト増幅特性の推定に加え、東北地方太平洋沖地震の強震動を受けた広範囲の観測点を対象に、サイト増幅特性の時間変化についても調査することができた。それに加え、直達S波とコーダ波によるサイト増幅特性の推定を行うことによって、コーダ波と直達S波のサイト増幅特性が同一のものであることを確認し、さらにコーダ規格化法では、1S波放射パターンを考慮する必要が無いなど利点を明確に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析によって明らかになった、弱震時、及び強震時のサイト増幅特性の変化を組み込んだ大地震の地震動震予測を行う.本研究の過程で、強い揺れに見舞われた数週間後にはすでにサイト増幅特性が地震前の状態に戻ることが確認されたこと、また、サイト増幅の推定の際にこれまで問題となってきた、S波の放射パターンの方位依存性が、コーダ規格化によるサイト増幅推定では考慮の必要がないことが明らかになったことから、本研究をさらに進め、サイト増幅特性の深さ依存性や周波数依存性をより詳細に求めて大地震時の地震動の再現に挑戦する。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)