Research Abstract |
本研究における平成24年度の研究成果について以下に示す. 静電型ICによる溶離液に水のみを用いた主要陰イオン(SO_4^<2->, Cl^-, NO_3^-, i^-, ClO_4^-)の同時分離計測法及び主要陽イオン(Na^+, NH_4^+, K^+, Mg^<2+>, Ca^<2+>)に関して,1本の英語論文が受理され,2件の国内外における学会発表を行った.具体的な研究内容としては,シリカ-C_<18>カラムに両性界面活性剤(CHAPS)を物理修飾した静電分離カラムを用い,検出感度の増大法に関する研究を行った. その結果,種々な陰イオン類を静電分離した後,イオン当墨電気伝導度の高いH^+型に変換された強酸性の陽イオン交換樹脂が充填されたサプレッサーゲルを用い,各陰イオン類を各々の酸に変換することにより,強酸性の陰イオン類に関して,従来に比べて3-4倍程度の高感度な検出が可能となった.本研究において開発された高感度導電率検出静電型ICは従来型のICのように,酸もしくは塩基を用いることなく,水のみで陰イオン類の高感度な分離定量を可能にする非常に画期的な方法である.また,主要陽イオンに関して,1価陽イオン(Na^+, NH_4^+)球,Kり及び2価陽イオン(Mg^<2+>, Ca^<2+>)間の分離のみ達成された. 次に,溶離液に水を用いる紫外・可視吸光検出イオン排除型ICによるアルカリ度(HCO_3り,栄養塩(リン酸,ケイ酸)及び無機態窒素(NO_3^-, NO_2^-)の逐次分離計測システムの開発に関して,1本の英語論文が受理され,国内外において,4件の学会発表が行われた.具体的な研究内容としては,水溶離液を用いるイオン性栄養塩類の分離定量のために,3つのイオン排除型ICがカラム切り替えバルブによって接続された水質モニタリングシステムの開発である.開発されたICモニタリングシステムは,国内外の一般的な中小都市河川の富栄養化に関するイオン成分のモニタリングに適応され,河川水中の種々なイオン性栄養塩類のモニタリングが可能であり,本ICモニタリングシステムの有用性が実証された. 以上のマレーシア及びインドネシアを含めた発展途上国におけるICシステムの適応実験の結果,その有用性が認められ,今後は,現地での栄養塩に関するモニタリング調査の継続及び栄養塩や重金属のモニタリングシステムの開発を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶離液に水を用いる紫外・可視吸光検出イオン排除型イオンクロマトグラフィー(IC)によるアルカリ度(HCO_3),栄養塩(リン酸,ケイ酸)及び無機態窒素(NO_3,NO_2)の逐次分離計測システムの開発に関して,その有用性が実証され,その結果,1本の英語論文が受理され,国内外において,4件の学会発表が行われた。 また,マレーシア及びインドネシアを含めた発展途上国におけるICシステムの適応実験の結果,その有用性が認められ,今後は,現地でのモニタリング調査の継続及び栄養塩や重金属のモニタリングシステムの開発を予定している. 以上の結果から,平成24年度に行われた水溶離液を用いるイオンクロマトグラフィーの開発に関する研究は順調に進展した事は明らかである.
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