Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
1.TONGARI-BOUSHI1(TOBI)のと近縁なTOB2,TOB3の機能解析 まず,TOB2,TOB3の発生初期の小穂における発現パターンを解析した.その結果,全ての小穂側生器官の原基で発現し,メリステムでは発現しなかった.この発現パターンは,TOB1の発現パターンとよく類似していた. 次に,類似した3つのTOB遺伝子の発現をそれぞれ抑制するためのコンストラクトを作製し,それぞれを野生型に導入し,表現型を観察した.TOB1RNAi個体は,tob1変異体で観察される5つ全てのclassの表現型を示した.一方,TOB2RNAi個体,ToB3RNAi個体では,tob1が示す表現型の中でも最も弱い表現型のみが認められ,その出現頻度はToB1RNAiに比べて低いことがわかった.この結果から,3つのTOB遺伝子の中でも,TOB1が中心的な役割をしている可能性示唆された. 次に,tob1変異体でTOB2,TOB3それぞれの発現抑制を行った.その結果,tob1変異体同様,classIからVまで全ての表現型が観察された.TOB2:RNAi/tob1のClassIからVの表現型の割合をtob1変異体と比較した結果,TOB2の発現抑制によって,tob1変異体の表現型が昂進されるということが判明した.TOB3:RNAi/tob1についても同様の結果が得られた.以上の解析結果から,小穂の形態形成において,3つのTOB遺伝子は,冗長的に,小穂の側生器官からメリステムへのコミュニケーションに関与していることが示唆された. 2.KB-Fuzzy Artによる遺伝子の抽出 昨年度同様,KB-Fuzzy Art法を用いて,マイクロアレイデータからいくつかの遺伝子を抽出した.そして抽出した遺伝子について,遺伝子機能抑制体を作製したが,表現型の異常は認められなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した計画内容どおり,TOB1に近縁なTOB2,TOB3の機能解析を実施し,小穂の形成においてTOB2,TOB3がTOB1と冗長的に機能していることを明らかにした.また,3遺伝子の中でも,TOB1が中心的な役割を果たしていることが明らかとなり,この結果は,多面的な異常を生じるtob1の表現型と一致した. さらに,TOB1と小穂形成が異常な既知の突然変異体との2重変異体を解析し,TOB1の機能に新たな知見をもたらすことができた. 本成果の大部分は,日本植物生理学会第54回年会で報告した. このように,当初の計画どおり研究を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,3つのTOB遺伝子が,小穂の形成だけでなく花序の形成にも関与することが示唆されたので,花序発生のどのステージに関与しているかを明らかにする.具体的には,TOB2-TOB3 RNAi/tob1の発生初期の花序の観察や,枝梗数の調査を行うことを計画している. また,3つのTOBタンパク質が転写抑制に関わる可能性が示唆されたので,今後はそれを検証する.具体的には,TOBと既知の転写抑制タンパク質との相互作用の解析などを行う. さらに今後は,3つのTOBが制御する器官とメリステムのコミュニケーションの詳細を明らかにしたいと考えている.
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