Project/Area Number |
11J09934
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲井 智義 東京大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 子ども福祉 / 石井十次 / 高田慎吾 / 教育社会史 / 孤児院 / 大原社会問題研究所 / 保育 / 女性・労働問題 / 子ども救済 / 子ども保護 / 岡山孤児院 / 保育所 / 二葉幼稚園 / 学校儀式 / 冨田象吉 / 児童救済 / 児童保護 / 家族と学校 / 児童労働 / 政治学 |
Research Abstract |
私は今年度、博士論文に関わる論文と関連領域の研究動向論文を執筆した。まず前者については、2本の査読論文がある。第一は、日本初の孤児院を運営した石井十次についてである。この論文では、子ども救済事業から子ども保護事業への展開を、石井の家族観と学校観の連続性と変容として析出した。これは特に、子ども福祉と教育の関連を、社会史研究の観点から分析した意義を持つ。 第二に、石井の後の時代に位置する1910年代から1920年代中頃まで子ども問題を研究した高田慎吾についてである。従来、一次資料や関連雑誌を網羅的に精査して、高田の活動と思想を明らかにする研究はなかった。それに対して本研究は、大原社会問題研究所着任以前の活動を含めて検討し、高田の子ども保護の社会化論が、戦間期の欧米の子ども福祉や女性・労働問題から影響を受けていたことを明らかにした。 その他に研究動向論文を、3本執筆した。第一は、2012年3月に開催された比較教育社会史研究会でのシンポジウムの議論のまとめである。ここでは、19世紀・20世紀の福祉国家形成と教育に関するセッションに関する討論をまとめ、コメントを加えた論文を執筆した。この論文では、マクロな福祉・教育の構造だけでなく、ミクロな福祉・教育実践も再検討する必要性が生じていることを指摘した。 第二は、2013年12月に新教育に関する研究会に参加し、子ども福祉活動との関わりを含めて新教育を分析する可能性を示した論文である。第三は、ジェンダー史の観点から日本の保育の歴史をまとめた論文である。ここでは近代以降、保育を女性(母親と保母)が担ってきたことを、親と施設の関係、保育と国家・社会との関係のなかに位置づけた。いずれの研究動向論文も、私が次年度中に博士論文としてまとめる予定の近代日本教育・福祉史を、人文社会科学の知見を含めた視野で意味づけるうえで、不可欠な作業であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
その理由は、2つある。第一にこの間の研究成果が、2本の査読論文になった。またそのうちの1件が、『大原社会問題研究所雑誌』(採択内定・印刷中)に採択されたことは、教育学・子ども学が社会科学研究で評価された点で特筆に値する。第二に、依頼報告、研究動向論文執筆を通じて、他の学問分野との交流を重ねることができた。これは、当初の研究計画にはなかった新たな進展であったと捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ただし3年間で、未刊行となった研究成果が数点ある。それらについても、順次、関連雑誌において研究論文として発表する。そのうちのいくつかは、2014年度前半期に発表される見込みである。
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