大脳発生において神経系前駆細胞が分化運命転換のタイミングを決めるメカニズムの解明
Project/Area Number |
11J10035
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cell biology
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
壷井 將史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 神経系前駆細胞 / ポリコーム群タンパク質 / Ezh1 / H2Aユビキチン化修飾 / ポリコーム群遺伝子 |
Research Abstract |
in vivoにおいて神経系前駆細胞特異的にEzh1の機能を阻害するために、採用初年度(23年度)にCre-loxPシステムによるEzh1の条件的ノックアウトマウスの作製を行い、終了した。そこで24年度はこのマウスを用い、神経系前駆細胞特異的にEzh1をノックアウトし、アストロサイト産生期においてもニューロン産生が継続するかを検討した。Ezh1 flox/flox Nestin-Creマウスを用いて、神経系前駆細胞特異的にEzh1をノックアウトし発生後期に産生されるニューロンの数に与える影響を調べた。発生後期に産生される表層ニューロンマーカーであるCux1の染色を行った所、予備的な結果ではあるが、Cux1強陽性細胞の数が増加する傾向が見られた。この結果から、Ezh1がCux1強陽性表層ニューロンの産生を抑制している可能性が考えられる。 また、PcGがニューロン分化関連遺伝子群を抑制するメカニズムについて検討した。PcGによるターゲット遺伝子の抑制には、PcG構成因子Ring1BによるヒストンH2AK119ユビキチン化修飾(H2Aub)が重要な働きをすると考えられてきたが、PcGによる遺伝子発現抑制におけるH2Aubの必要性は未だ不明な点が多い。そこで、神経系前駆細胞におけるPcGによるニューロン分化関連遺伝子群の抑制にRing1BによるH2Aubが必要かを検討した。その結果、野生型Ring1BだけではなくRing1BのH2Aub修飾触媒活性を欠損させたRing1B(I53A/D56K)変異体の過剰発現によっても、Ring1B欠損によるニューロン分化関連遺伝子群の脱抑制がキャンセルされ、発現抑制が回復した。H2Aub修飾とPRC1による遺伝子発現抑制には高い相関が見られているが、今回の結果から、PcGによるニューロン分化関連遺伝子群の発現抑制には、Ring1BのヒストンH2AK119ユビキチン化修飾触媒活性は必要ない事が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
採用初年度(23年度)に作製を終えたマウスを用いてin vivo神経系前駆細胞においてEzh1の遺伝子破壊を行い、(計画通り)Ezh1遺伝子破壊に成功している。さらに、表層ニューロンマーカー強陽性細胞が増加するという結果を得ている。加えて、(計画外の)ポリコーム群タンパク質(PcG)によるニューロン分化関連遺伝子群の発現抑制にRing1BのヒストンH2AK119ユビキチン化修飾(H2Aub)触媒活性は必要ないという非常に新規性の高い知見を得た。本研究において、Ring1BによるH2Aub触媒活性の必要性を正確に評価する為に新しくRing1Bの変異体を作製し、新たにRing1A/B双方を欠損させた神経系前駆細胞を用いたレスキュー実験の系を立ち上げた。
|
Strategy for Future Research Activity |
Ezh1のノックアウトマウスを用いて、in vivoにおいてEzh1がニューロン産生期の終了のタイミングを決定するかをさらに詳細に検討する。具体的には、発生時期依存的かつ神経系前駆細胞特異的にEzh1遺伝子をノックアウトし、Ezh1の発現量の上昇が各層ニューロンの分化運命転換のタイミングを決めるかを検討する予定である。さらに、PcGがニューロン分化関連遺伝子群を抑制するメカニズムとして、H2Aub非依存的な遺伝子発現抑制機構について検討を行う。これまで、PcGの遺伝子発現抑制機構としてクロマチンを凝縮させることで転写因子のクロマチンへの結合を阻害することが知られている。そこで、PcGがニューロン分化関連遺伝子座においてクロマチンの凝集状態を変えることで遺伝子発現抑制を引き起こしているか検討する予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(6 results)