Project/Area Number |
11J10533
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Religious studies
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
袴田 渉 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 教父学 / キリスト教史 / 新プラトン主義 / 宗教 / 宗教学 / 東方キリスト教 / 宗教哲学 / 中世哲学 / 擬ディオニュシオス・アレオパギテース / 神化概念 / 汎神論 |
Research Abstract |
本年度は、キリスト教ギリシア教父の人間観の根本概念である「神化」(θεωσισ/divinization)の解明を目指して、(1)これまで研究の中心に据えてきた擬ディオニュシオスのテクスト以外の教父文献および新プラトン主義文献の精読を経た上で、(2)ディオニュシオスにおける神化概念との比較研究を行った。 (1)ディオニュシオス以外の教父文献として、当初の予定通り、アタナシオスの著作『言(ロゴス)の受肉について』を精読し、教父思想において「神化」を表すもう一つの術語である'θεοποιησι〓/deification'の具体的な用例を把握することができた。さらに、ディオニュシオスの思想に多大な影響を与えたとされる新プラトン主義哲学者プロクロスの『神学綱要』を精読し、古代末期のキリスト教以外の思想における神化概念の用例を抽出することができた。 (2)(1)で得られた結果を踏まえて神化概念の比較研究を行い、以下の成果が得られた。(イ)アタナシオスの用例を始めとする神化概念(θεοποιησι〓)とディオニュシオスにおける神化概念(θεωσι〓)は、その行為主体の捉え方において異なり、前者が「神」のみをその主体に掲げるのに対し、後者は「神」 と「人間」の双方を主体として捉え、二つの主体間のある種の共同・協働によって神化が実現されると考えられる。(ロ)古代末期の地中海世界における二大思想潮流たるキリスト教と新プラトン主義に、神化を巡る問題系が存在した。(ハ)ディオニュシオスの神化概念には、新プラトン主義の影響が見られる。 以上の見通しの下に研究をまとめ、フランスのCentre d'Etudes Multiculturellesにて仏語で研究発表を行い、同学会誌に仏語の論文を投稿した。また、新プラトン主義協会大会において上記の成果を発表し、同学会誌に論文を提出した。さらに、当初の研究計画通り、ビザンツ帝国期以来の典礼や写本等を多く保存するギリシア・アトス山において資料調査を行い、現地の修道士と面談する機会を得て、今後の研究に資する貴重な知見を得ることができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Book] 世界宗教百科事典2012
Author(s)
井上順孝(他編)、袴田渉、袴田玲
Total Pages
912
Publisher
丸善出版(項日「ギリシア正教」)
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