Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本年度は, 昨年度までに取得した気泡底部局所温度データからミクロ液膜初期厚さを算出し, 従来提案されてきた二つの流体力学モデルを基に液膜形成機構を調べた. まず, 壁面温度を用いた伝熱解析により得られた伝熱面表面の局所熱流束をミクロ液膜時間内で積分することにより, センサ位置におけるミクロ液膜初期厚さを算出し, 液膜初期厚さの空間分布に関する相関式を作成した. 次に, 気泡に押しのけられた液体が壁面上に作る速度境界層の厚さが液膜初期厚さを決定するとする境界層モデルと, 静的メニスカスとミクロ液膜の間に形成される動的メニスカスにおけるラプラス圧力勾配と粘性力の釣り合いが液膜初期厚さを決定するとする動的メニスカスモデルの二つを用いて液膜形成特性を調べた. 結果として, ボンド数Boによって液膜形成機構が異なることが示され, 比較的液膜形成速度の大きなBo>15の領域では境界層モデルによって液膜形成特性が説明され, 一方, 比較的液膜形成速度の小さなBo<15の領域では動的メニスカスモデルによって液膜形成特性が説明可能なことが明らかとなった. また, 二つの液膜形成モデルに基づいた実験結果のフィッティングにより90%以上の実験結果を30%以内の誤差で予測可能な無次元液膜厚さに対する実験相関式を作成した. さらに本年度は, プール沸騰実験で構築したMEMS計測技術を応用して, 垂直伝熱面のサブクール流動沸騰における気泡底部伝熱面温度の計測を実施し, 単一気泡流動沸騰における伝熱素過程を観察した. 実験では, 流速0.25m/s, サブクール度10K以下の条件で気泡下の伝熱挙動を詳細に示す温度データが取得され, 垂直伝熱面の流動沸騰においてもプール沸騰と同様にミクロ液膜の蒸発ドライアウト, ドライアウト領域のリウェッティングが生じていることが明らかとなった. 今後は, 数値計算技術の検証に資するデータの取得, サブクール流動沸騰伝熱特性の解明を目的として, 流速, サブクール度, 過熱度を変化させた系統的な実験を行うことを考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りミクロ液膜形成の流体力学的特性を調べることが出来た. レーザー干渉法による液相熱輸送計測実験では有効なデータが取得できなかったが, サブクール流動沸騰のMEMS計測では気泡底部の伝熱現象を詳細に示す温度データが取得され, 計画以上の成果が得られた.
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