植物油を用いて養殖可能な脂肪酸代謝酵素遺伝子導入海産魚系統の作出
Project/Area Number |
11J10796
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Research Fellow |
壁谷 尚樹 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 遺伝子導入 / 海産魚 / 必須脂肪酸 / DHA・EPA / 高度不飽和脂肪酸 / トランスジェニック |
Research Abstract |
今年度は、ヤマメ鎖長延長酵素2遺伝子導入ニベ系統の稚魚期の魚を用いてDHA欠乏餌料による給餌試験を行った。その結果、この系統の稚魚は餌中にDHAが含まれていないと正常に発育しないことが明らかとなった。この結果に合わせて、ニベ内在性の不飽和化酵素が遺伝子導入魚で増加していたTPAをDHAの前駆物質であるTHAに代謝できないこと、また、TPAを主に代謝可能な脂肪酸代謝酵素が見つかっていないことからも、増加したTPAをDHAへと代謝させることは困難であることが考えられた。そこで、本年度はΔ4活性を保持する不飽和化酵素に着目した。Δ4不飽和化酵素はTPAと同じく遺伝子導入魚で増加していたDPAを直接DHAへと転換可能である酵素で、この酵素を用いればTPAおよびTHAを介さずにDHAを効率的に合成させることが可能になると考えられる。Δ4不飽和化酵素は近年、植物食性魚のシモフリアイゴから単離されている。そこで、この情報を元に近縁種であるアイゴから不飽和化酵素遺伝子を単離した。単離した酵素の活性を酵母発現系を用いて解析した。その結果、この酵素もシモフリアイゴの酵素と同様にΔ4活性を保持していることが明らかとなった。この遺伝子と発現量の異なる肝臓発現プロモーター3種を組み合わせたコンストラクトを作製し、ニベ受精卵へのマイクロインジェクションを行った。現在は、得られた雄親魚から得られた精液よりゲノムDNAを鋳型として、アイゴの遺伝子特異的プライマーを用いたPCRによりスクリーニング作業を行っている。最終年度にあたり、前年度までに得られていた成果をオーストラリア・ブリスベンにて行われた10th International Marine Biotechnology Conferenceにて口頭発表し、さらに投稿論文としてまとめたものをJournal of Biotechnology誌に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヤマメelov12遺伝子の導入のみではDHAの増加は望めないということを、内在性の酵素の活性および給餌試験から明らかにすることが出来たが、アイゴムΔ不飽和化酵素遺伝子導入魚の系統化が困難であった。そのため、発現量の異なるプロモーターを使用したコンストラクトを作製し系統化を試みているところである。しかし、将来的にDHAを効率的に合成可能な系統を樹立できる可能性は非常に高いと予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もまずは上述のアイゴの脂肪酸代謝酵素を導入した系統の作出を行う。続いて、それら系統とこれまでに得たヤマメelovl2遺伝子導入系統との交配によるダブルトランスジェニック系統の作出を目指す。その後、魚油を段階的に減らし、代替油脂源として植物油を用いた試験飼料を作製し、給餌試験を行う。また将来的には、ニベを用いて得られたデータを元に、他の水産上有用海産魚(ヒラメ、マダイ)等においても同様の遺伝子を導入し、実際にEPA・DHAを自ら合成し、餌飼料中に要求しない系統を作出可能か検討する。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)