Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究課題は, 高等生物の細胞内において小胞の輸送, 細胞分裂, 細胞運動などの種々の事象に関与している生体分子モーター, 細胞質ダイニンが1方向性を獲得する機構を明らかにすることを目的としている. 前年度までの研究から, 拡散的な挙動を示すダイニンが一方向的な運動を行う要因として, 負荷の存在による力学的摂動が重要な役割を果たしている可能性が示唆されていた. そこで, 本年度では, 細胞質ダイニンに内在する力学応答性を光ピンセットによって直接計測する実験を行った. また, 合わせてダイニンの挙動と分子の形態の間の関係を電子顕微鏡によつて観察し, 力学的摂動がダイニン分子に及ぼす影響について, 構造的見地からも研究を行った. 【細胞質ダイニンに対する力学的摂動の効果の評価】 ダイニン分子のレール(微小管)に対する結合親和性が力学的摂動によって変化するかどうか, 光ピンセットを用いて観察した. 具体的には, ダイニン分子が結合したビーズをトラップし, 微小管上で瞬間的に負荷をかけた際の破断時間を測定し, 負荷の大きさと破断時間の関係を見た. その結果, ダイニンの結合時間には負荷の方向に対する依存性(Ratchet-like property)が存在し, 同時に負荷が大きくなるほど結合が強くなる性質(Catch-bond mechanism)が内在していることがわかり, この性質を利用して負荷依存的な一方向性の顕在化が起こっている可能性が示唆された. 【細胞質ダイニンの形態と運動様式の関連に対する構造的アプローチ】 ダイニンの振る舞いと形態の間の関係を探るために, 種々のヌクレオチド条件におけるダイニンの形態の違いを電子顕微鏡で観察した. その結果, 微小管との結合親和性に応じてダイニンが異なる形態をとつていることが明らかとなり, ダイニンは無負荷状態では弱結合状態に特異的な形態にトラップされ, 拡散的な振る舞いに陥っているという自己阻害モデルを確立することが出来た.
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