「学力」に関する経験的・歴史的検討--「標準化/非標準化」という区別に着目して
Project/Area Number |
11J11023
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology of education
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
堤 孝晃 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 学力 / 学力論 / 教育社会学 / 近代教育批判 / レリバンス / 学力観 / 能力観 / リスク社会学 |
Research Abstract |
本研究は、「学力」概念を多角的な視点から検討し、「学力」概念を規定する教育システムおよび教育研究の特殊性や文脈性を明らかにしようとするものである。この目的に従って、平成24年度は、(1)理論的検討、(2)経験的検討、(3)歴史的検討を行なった。 (1)理論的検討 実体的因果連関にではなく、システムによる意味生成に着目する必要性を見出した前年の検討を更に展開し、教育研究における考え方の特徴の一端を、他システムとの関係において具体的に検討した。見出されたのは、「学力・能力」の過剰な意味的拡大である。複雑化・流動化する現代社会において必要なことは、構造に関する理論から教育の機能を先見的に導出するのではなく、機能的参照観点における機能的等価物として教育を位置づける方法であることを提示した。 (2)経験的検討 経験的検討は、インタビュー調査および質問紙調査分析である。 インタビュー調査は、2007年に行った調査の追跡調査であり、「学力」概念を規定する地域性の影響力の強さを改めて見出した。5年の間には、学習指導要領の改訂が行われていたが、教師の語りからはその影響が大きく見出されることはなく、学校環境の変化といったローカルな制約が強くうかがえる。また都立高校の生徒を対象とした質問紙調査の分析においては、「学力」における到達目標と教育方法に関する「レリバンス」について、従来の想定を超える関連の可能性を見出した。従来の「レリバンス」論が想定している因果論的前提を問い直し、理論的検討で行った視点から再検討する必要が示唆できる。 (3)歴史的検討 教育研究における「学力論」を規定する要因として教育社会学というディシプリンに着目し、所属機関や方法論の変遷という歴史的な変化を具体的に捉えることができた。また、森重雄を中心に近代教育批判の展開を検討することにより、社会において教育を全域化・特権化するという教育研究に通底するエートスを描き出した。
|
Report
(2 results)
Research Products
(11 results)