日本の対中政策における外務省の居留地(租界)政策の研究
Project/Area Number |
11J11167
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Ochanomizu University |
Research Fellow |
渡邊 千尋 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 中国の日本居留地 / 中国の日本租界 / 日本帝国主義 / 対中進出 / 上海 / 天津 / 日清戦後経営 / 日本近代史 / 対中政策 / 居留地 / 租界 / 貿易 / 中国 |
Research Abstract |
本研究は、日清戦後から第一次世界大戦期までの日本の対中進出を、中国における日本人居留民の経済活動に焦点を当てて明らかにするものである。従来、日本の対中進出は日本帝国主義研究として進められてきたため、国家資本による資本輸出や、日本国内で何等かの形で独占を形成しうる綿業、石炭業、貿易業等といった大企業にのみ焦点が当てられてきた。しかしそれだけでなく、中小商人によって生産から輸出までが担われる雑貨の輸出も対中輸出の中で無視できない比重を占めており、加えて中国の日本居留地・外国租界へ進出した日本人居留民の主体となったのが、こうした雑貨輸出に携わる中小商人たちだったのである。こうした日本商の存在が本国経済にとってどのような意味を持ったのかを明らかにすることは、従来の帝国主義研究では明らかにされてこなかった対中進出の重層性を解明することにつながるのである。 こうした意義に加え、本研究は主として中国史分野で中国・日本において進められてきた中国の外国租界研究と、日本史分野で日本において進められてきた対中進出研究をリンクさせるという国際的かつ学際的な意義を持つ。中国史の視点からの研究は従来外国租界が中国社会に与えた影響にのみ焦点が当てられ、外国租界が本国の社会および経済とどのようにつながっていたかは等閑視されているためである。 本研究は日本政府が居留地および居留民に対して取った諸政策から、本国がそれらに対して持っていた利害関係を明らかにすることで、上記の課題を解決することを目指した。これまでに政策分析の前提としてこれまでに各国の「集団的非公式帝国」である中国においては各国の諸政策の立案・試行に制約がかかっていたことを明らかにすることができた。さらに今年度の科研費補助金で上海において半年間の史料調査・研究交流を行い、現在は大阪-上海貿易の政策と実態の史料収集を完了し、分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究課題を掘り下げるにつれ、想定していなかった大きな研究上の意義があることが分かった。そのため投稿中であった論文の内容を一部改訂し「集団的非公式帝国」である中国の日本人居留民・日本租界に対する政策の立案・試行の特殊性を解明するものとし、発表した。今年度の上海調査では上海の日本商と取引のあった中国商(東洋荘)についての史料を収集したほか、復旦大学朱蔭貴氏、上海の日本人居留民研究の第一人者である陳祖恩氏から研究についてのアドバイスを受け、上海史の視点から本研究を見直すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、上海調査の成果を「日本製雑貨の中国市場進出と上海の日本商」として執筆中である。明治四十年代に国内の卸売商が多数上海に進出し、日本製雑貨の対中輸出の担い手として本国経済とリンクし、本国に利益をもたらす存在に昇格するものの、第一次世界大戦期から生産拠点を上海に移す日本商が出現し、国内との競争関係が形成される過程を明らかにする。次に、日清戦後から第一次世界大戦期における天津の日本商の経済活動に着手する。 こちらは上海とは異なり、天津領事の居留地経営と直隷総督の清末新政という二つの政策に牽引されたという観点から、上海との比較を行いつつ、博士論文の執筆を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)