Project/Area Number |
11J11173
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied pharmacology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小沢 政成 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | グルタチオン / 肝再生 / cyclin D1 / mTORC1 / AMPK |
Research Abstract |
本研究は、これまで未解明であった、グルタチオン(GSH)濃度の減少によって肝再生が抑制されるメカニズムの解明を試みた。増殖因子であるHGFの刺激を受容したラット初代培養肝細胞、およびラット2/3部分肝切除モデルを用いて解析を行った結果、(1)G_1中後期におけるc-MET/PI3K/Akt/mTORC1経路の活性化がcyclin D1の誘導および肝細胞のS期への移行に必要であること、(2)GSH濃度の減少は、mTOR抑制因子であるAMPKの活性化を介してG_1中後期におけるmTORC1の活性化を抑制し、cyclin D1の発現上昇を抑制すること、を明らかにした。 本知見は、肝再生過程においてGSH濃度およびmTORC1の活性を保持することの重要性を示唆し、重症肝疾患患者における治療予後の向上を図る上での基盤情報になると期待される。また、本研究は、AMPKがGSH濃度の減少に起因して活性化することを初めて見出し、これまで全般的に詳細な分子メカニズムが不明であった酸化ストレスの細胞増殖抑制効果において、AMPKが関与している可能性を示唆した価値ある研究と考えられる。 GSH濃度の減少が肝再生に影響を及ぼすことから、肝臓内GSH濃度のモニタリングが術後肝疾患患者の予後予測に有用である可能性が考えられた。そこで、肝臓内GSH濃度を反映しうる生体内代謝物であるγ-glutamyl-dipeptide(γ-Glu-Xs)の血中濃度を肝移植患者において測定し、肝機能の回復プロファイルとの相関性を検討した。約30人の肝移植患者における肝機能マーカー等の生化学検査値プロファイルと、血中γ-Glu-Xs濃度プロファイルとの相関性を比較したが、有意な相関性は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルタチオン濃度の減少に伴って肝再生が抑制される分子メカニズムを初めて明らかにしたことに加え、肝移植患者の血清サンプルの解析まで終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
肝移植患者の血中γ-Glu-Xs濃度プロファイルと、肝機能マーカー等の生化学検査値プロファイルとの間に相関性が観察されなかった理由を精査するため、まずγ-Glu-Xsの動態特性を検討する必要があると考えられる。また、肝移植患者の血清サンプルをメタボローム解析し、肝移植後の肝機能の回復に関連する新たな候補代謝物質を見出す予定である。
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