Project/Area Number |
11J30003
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Digestive surgery
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池永 直樹 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 上皮間葉移行 / CD280 / コラーゲン取り込み / 膵癌 |
Research Abstract |
【背景と目的】 癌細胞がプロテアーゼの分泌を介し周囲組織へ浸潤することは知られているが、細胞外基質(ECM)を細胞内に取り込み分解する基質クリアランスの機構については知られていない。膵癌細胞が浸潤する際上皮間葉移行(EMT)を起こすことに注目し、癌細胞がEMTにより線維芽細胞同様コラーゲンリモデリングに関与しているのではないかと仮説を立てた。 【結果】 コラーゲンでコーティングした蛍光ビーズを用いて、膵癌細胞、膵線維芽細胞のコラーゲン取り込み能を評価した。その結果、線維芽細胞同様膵癌細胞もコラーゲンを細胞内に取り込む機能を有することが明らかとなった。コラーゲン取り込み受容体と呼ばれるCD280(endo180)は膵癌細胞膜表面に発現し、EMTによりその発現が亢進し、その結果コラーゲン取り込み能も亢進することが明らかとなった。膵癌細胞株の中でも間葉系の形質を呈する細胞株群は特にCD280(endo180)の発現が高く、EMTとコラーゲン取り込み能の関連性が明らかとなった。一方、コラーゲン取り込み受容体として認知されているintegrineβ1の発現はEMT並びに膵癌細胞のコラーゲン取り込み能に関連を認めなかった。CD280(endo180)をノックダウンすることで膵癌細胞株の浸潤能が低下することも明らかとなり、膵癌細胞の持つコラーゲン取り込み機能は膵癌浸潤に重要な役割を持つことが示唆された。 【結論】 膵癌細胞の持つECMの細胞内分解機構は、癌細胞が浸潤するスペースを形成するという観点より新しい浸潤メカニズムであると考えられる。この基質クリアランス機構の解明により新たな治療標的となる分子の同定が進むことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年は3年間で構成される研究計画の1年目であり、交付申請書に記載した年次計画通りに進んでいる。立案した研究方法が適切であったため、仮説の検証が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
vitroの結果は揃ってきているので、今後はヌードマウス、shCD280を導入した膵癌細胞株を用いてコラーゲン取り込み能が膵癌進展にどのような影響を持つのかvivoにて検証する。また、細胞内に取り込んだコラーゲンの分解機構と膵癌浸潤との関連について、リソソームに分布するシステインプロテアーゼであるカセプシンに注目して研究を進める。
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