漂着プラスチックごみ由来の有害化学物質総量の定量手法確立
Project/Area Number |
11J55433
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Environmental dynamic analysis
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Research Institution | Ehime University |
Research Fellow |
中島 悦子 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 漂着プラスチックごみ / 有害重金属 / 鉛 / 溶出試験 / 起源地推定 / 残留性有機汚染物質 |
Research Abstract |
(1)漂着プラスチックごみからの有害重金属の溶出量定量 : 本研究ではすでに長崎県五島市の海岸で、ゴミ被覆面積を算出し、区間面積当たりの重量を測定し、海岸のごみ総重量を推定した(平均:716±259kg)。またハンドヘルド蛍光X線分析計を使用し、海岸全体におけるプラスチックごみ中の鉛総重量を313±247gと推定した。中でも、塩化ビニル製の漁業用フロート(以下フロート)から、鉛が高濃度で検出されたことから、平成23年度においては、海岸環境への影響を評価するため溶出試験を実施した。溶出実験から溶出拡散モデルを仮定し、海岸全体のプラスチックごみから溶出する鉛を614±577mg/年間と推定した。この成果は、国際学術誌「Environmental Science & Technology」に投稿済みである。さらに製品フロートでも溶出試験を実施した結果、フロート1個あたりの鉛溶出量は、漂着物の2.8倍、傷をつけたフロートでは製品の2.3倍であった。これは、新しい製品が海岸に漂着すると溶出量が増えること、また物理的外傷を受けると、さらに溶出量が増大することを示唆している。 (2)漂着ごみ起源国の推定:漂着ごみの大部分は文字情報が欠落し、投棄量削減のための協議にあたって相手国を決めることが難しい。そこで、漂着プラスチックごみに含有する元素組成が起源国毎に異なる点を利用し、起源国推定の手法確立を試みた。完全では無いが、Al, Cr, Sr, Ba, Pbの濃度情報を元とした場合に、起源国推定ができる可能性が示唆された。 (3)漂着ごみ中の残留性有機汚染物質(POPs)の定量化 : 本年度は分析方法確立のため、米国・サンディエゴ州立大学に1ヶ月間滞在し、同大学Chelsea Rockman氏のご協力の下、海洋プラスチックに関するPOPs分析方法の習得に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海岸漂着ゴミの過半を占めるプラスチックゴミを現地回収し、含有する有害金属を検出するとともに、海岸環境への移行の可能性を溶出実験で確認した。これらは、漂着ゴミによる有害重金属の海岸汚染問題に関して、世界で初めての系統だった研究成果であって、これまで当該研究者が行った国際学会での発表は高い評価を受けた。また、国際学術雑誌への投稿も済ませている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに、製品フロートの溶出試験を600時間程度継続し、鉛溶出量の変動を定量化することで、海洋プラスチックごみ中に含有する有害重金属の海洋環境へのリスク評価を進めていく。また、ごみから溶出した重金属が土壌へ移行した後の動態を明らかにするため、実際の海岸(沖縄県石垣島)を対象に調査と分析を進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)