血清メタボローム解析を用いた新規膵がん診断法の開発
Project/Area Number |
11J56463
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Kobe University |
Research Fellow |
小林 隆 神戸大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | メタボロミクス / 膵がん / ガスクロマトグラフ / 質量分析 / ガスクロマトグラフィ / GC / MS |
Research Abstract |
本研究の目的は、膵がんを早期に診断する方法を開発することである。早期発見を可能にするための条件として、早期膵がんによる微細な変化を捉えられるような感度の高い検査であることに加え、集団検診でも行えるような簡便な検査であることも必要となる。我々はこれらの条件を解決するものとして、血清メタボロミクスを応用した膵がん診断法を開発し、その有用性を検証した。 研究期間内に複数の医療施設から収集した膵がん患者、慢性膵炎患者、および、健常者の血清検体は、それぞれ85例、23例、83例であった。これらの血清検体から水溶性代謝物を抽出し、新たに構築したガスクロマトグラフ質量分析計に供するとともに、インハウスデータベースと解析ソフトウェアを用いて血清メタボロミクスデータを得た。この中から、膵がん患者43例と、これに年齢と性別を適合させた健常者42例を抽出し、これらを学習セットとした。残りの膵がん患者42例、慢性膵炎患者23例、健常者41例を検証セットとした。学習セットにおいて比較検定を行い、膵がん患者血清では18個の代謝物に有意な変動があることを明らかとした。さらに、ステップワイズ法による変数選択と多重ロジスティック回帰分析を用いて複数の代謝物を組み合わせた膵がん予測式を作成した。式に用いた代謝物は、Xylitol、1,5-Anhydro-D-glucitol、Histidine、Inositolであった。この予測式は、学習セットにおいて、膵がんに対する感度86.0%、特異度88.1%と良好な精度を示した。さらに、検証セットにおいても、感度71.4%、特異度78.1%と良好であった。特に、ステージHまでの膵がん患者に対する感度は77.8%、慢性膵炎患者における偽陽性率は17.4%であり、CA19-9におけるそれぞれ55.6%、30.4%と比較して明らかに良好な成績であった。これらの結果から、血清メタボロミクスを用いた診断的手法は、膵がん患者をより正確かつ早期に発見できる可能性を持つ有用な方法であることが明らかとなった。今後、さらに詳細な検討も必要であるが、膵がん患者の予後を改善させる方法となることが期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)