Project/Area Number |
12011215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
針生 悦子 青山学院大学, 文学部, 助教授 (70276004)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 語彙獲得 / 語意味の学習 / 形の典型性 / カテゴリーの階層構造 / 相互排他性 / 即時マッピング / 幼児 / 物質名詞 |
Research Abstract |
語の意味を学ぶとは、提示された語を、既存の語彙辞書の中に適切に位置づけることにほかならない。これが要求される端的なケースとして、自分では既に名前を知っていると思っていたもの(e.g.,スプーン)に、新しい語(e.g.,"レンゲ")が導入される場面がある。このとき、語の学び手は、(1)新しい語はその命名事物の材質名か、それともカテゴリー名か、さらに、ここで新しい語をカテゴリー名とするなら、(2)その新たなカテゴリー名は、既知の名前とどのような意味関係にあるか、を決めなければならない。このように、語の意味を学ぶとは、実に複雑な推論を要求するプロセスである。にもかかわらず、爆発的な語彙獲得期にある子どもたちは、語をたった一度耳にしただけで、その意味を適切に推論してしまう。このとき子どもたちは何を手がかりとして語意味をすばやく適切に推論しているのか。これを明らかにすることが本研究の目的であった。 (1)の点について、英語圏のデータは、提示された語が可算名詞か物質名詞かといった文法的区別を子どもたちは手がかりとしていることを示してきた。しかし、日本語はこのような文法的区別を持たない。日本語を学びつつある子どもたちはこのような事態にどのように対処しているのか。本研究では、日本の子どもたちが、「既知の事物を指して与えられた語はその事物について既に知っている名前より狭いカテゴリーを指す名前と考える」といった方略をとっていることが明らかにされた。 そこで次に問題になるのは(2)の点である。新しいカテゴリー名と既知のカテゴリー名との意味関係として考えられるのは、a)新しいカテゴリーは既知のカテゴリーに含まれる(階層関係)か、b)新しいカテゴリーは既知のカテゴリーから排除される(同位関係)か、のいずれかである。本研究では、子どもは、命名事物が既知カテゴリーの事例としてどれだけ典型的な形をしているかに応じて、a)とするかb)とするかを決定していることが明らかになった。 以上のように本研究は、子どもが、多様なリソースを柔軟にしかも適切に用いて、語(特に事物に結びつけられる名詞語彙)の意味をすばやく学習する、そのメカニズムの一端を明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)