Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究課題は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州クィーン・シャーロット諸島で話されるハイダ語スキドゲイト方言の記述研究と,その類型論上の特質を考察することを主たる目的とするものである.本年度の研究成果は,以下のようにまとめられる. (1)昨年7月末から9月半ばまで,ハイダ語が話される地域に滞在し,スキドゲイト方言の話者5名の協力により,同方言の調査研究を行なった.調査の概要は,以下の通りである. 1)類別接頭辞の形態統語的,また,音韻的特徴を明らかにした. 2)動詞形態法に関わる派生接辞の機能と承接順序に関する調査を行なった. 3)音韻法の中でも,特に声調のふるまいの全体を解明する調査を行なった. 4)統語法の予備調査を行なった. 尚,調査資料は,すべてデジタルオーディオテープ(DAT)やCD-Rなどの永年保存に耐えられるようなデジタル媒体で記録し,その整備を図った. (2)ハイダ語の言語類型論的特質を考察するために,北アメリカ北西海岸地域に分布する諸言語の文献資料を蒐集した. (3)過去になされたハイダ語の研究資料を蒐集し,ハイダ語資料の拡充と整備を図った. これらの研究成果が得られた一方で,今後検討すべき課題も指摘し得る.本研究課題を含む,これまでの調査研究により,ハイダ語の文法の全容が徐々に得られつつあるものの,形態法に関していえば,まだ十分にその機能・用法が分かっていない接辞があり,統語法に関しては,解明すべき諸問題がまだ多く残っているのが現状である.ハイダ語が日常言語として機能していない状況を鑑みれば,今後は,調査方法を検討するなどして,一層広範な調査ができるような体制を講じる必要がある.
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