Project/Area Number |
12042209
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 かおる 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40185343)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30091672)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Keywords | 全電子混合基底法 / 第一原理分子動力学法 / フラーレン / 内包フラーレン / GW近似 / 電子励起状態 / 時間依存シュレディンガー方程式 / 分子設計支援システム |
Research Abstract |
本研究では、密度汎関数理論(DFT)の局所密度近似(LDA)に基づき、1電子波動関数を原子軌道関数と平面波の重ね合わせとして表わす効率的な第一原理計算手法として全電子混合基底法を開発し、ユーザフレンドリーな分子設計支援システムとして完成させた。これを用いて、第一原理分子動力学法によるフラーレンへの異種原子挿入過程をシミュレーションするとともに、Ni4,Ni6と酸素分子やメタノール分子との衝突過程を調べた。ところで、DFTは基底状態を良く記述するものの励起状態には適用できない。DFTの枠組みを越えて多体問題の自己エネルギーを扱うGW近似を組み入れることにより、準粒子エネルギーを精度良く計算することができる。我々は、全電子混合基底法にGW近似を組み入れ、Lin, Nan, Kn(n=2〜8)、Mgn, SinクラスターやCO分子などの系のイオン化ポテンシャルと電子親和力を求めることに成功した。また、エキシトン効果を取り入れた光吸収スペクトルの計算も試みた。一般に、化学反応は電子励起状態を経由することで多様な反応経路を取り得る。我々は、電子励起状態における原子ダイナミックスを追跡するために、全電子混合基底法に、時間に依存するKohn-Sham方程式を積分しながら分子動力学シミュレーションを行うルーチンも組み入れ、H$_2$+Li$_2$の反応を追跡した。基底状態から出発した場合には、二つの分子は分子内振動を繰り返しながら反発し合うが、励起状態では2LiHへの組み替え反応が起こることを明らかにした。反応の電子論的ピクチャーについて説明するとともに、この種の化学反応における、自発的原子移動による電子励起状態からの自然緩和機構およびその逆過程として、原子衝突による電子の自然励起機構を提案した。励起状態を経由した原子ダイナミックスの制御の問題への具体的な方法論が完成したといえる。
|