凝集系における状態間遷移を併なう溶質分子動力学の計算機シミュレーション
Project/Area Number |
12042226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡崎 進 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (70194339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 伸一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10282865)
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Project Period (FY) |
1999 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 振動緩和 / 分子動力学法 / 経路積分 / 影響汎関数 / 量子-古典混合系 / エネルギー緩和 / 量子動力学 / 分子動力学 / 量子効果 / 量子液体 |
Research Abstract |
水溶液中のシアン化物イオンの振動エネルギー緩和に関し、緩和をもたらす溶媒の運動とのカップリングについて詳細に検討した。まず、影響汎関数理論を用いた解析からは、イオンの過剰エネルギーは、1-フォノン過程は寄与できず多フォノン過程により緩和していること、そしてたとえば2-フォノン過程としての2つのノーマルモードへのエネルギー移動は、小数の特定モードの組み合わせへと移動するのではなく、非常に多数のモードの組み合わせが少しずつエネルギーを受け取っているということが明らかとなった。さらに、ノーマルモードからの寄与を分子からの寄与に変換して解析すると、第一水和殻中にあるごく少数の特定の水分子が緩和に大きく寄与しているということが示された。一方、量子古典混合系近似に基づいたシミュレーションからは、溶液中での溶質の溶媒とのカップリングはランダムであり気相におけるような衝突的な短時間で強いカップリングは見られなかった。さらに、カップリングは時間とともに大きく変化しており、固相におけるような定常的な緩和とも大きく異なったものであった。そして、この一見ランダムに見えるカップリングも、ある一定の時間区間で積分するとある一定の緩和の傾向を示すという興味深いふるまいが示された。つまり、時間区間として100fsや500fsオーダーでは依然としてほぼランダムにしか見えないが、1〜2psの区間を考えるとある一定の傾向を持ち、そしてこの程度の時間オーダーで時間とともに緩和速度が変化していっている。この時間オーダーは水和殻の構造の寿命とほぼ同程度のものであり、溶液中における緩和の興味深い特徴を表している。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)