真核生物ゲノムの遺伝子情報発現における基本転写因子の制御的役割の解明
Project/Area Number |
12206051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大熊 芳明 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (70192515)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Keywords | 転写 / Pol II / 基本転写因子 / TFIIE / 線虫 / CTD / セリンリン酸化 / DNA結合 |
Research Abstract |
1.Pol II転写開始におけるヒトTFIIEβの二本鎖DNA結合領域の機能解析 ヒトTFIIEは、αとβがα2β2の4量体を形成し、転写開始と伸長への移行に機能する。転写開始では、TFIIEが転写開始点すぐ上流に結合し、複合体活性化とDNAの一本鎖開裂を助ける。我々は、TFIIEβ中央コア領域が二本鎖DNAとの結合領域で、羽状-ヘリックス構造をとることをNMRを用い明らかにした。そこで、この領域のDNA結合アミノ酸残基の機能解析を行った。DNA結合残基に点突然変異を導入すると、転写活性が著しく低下した。また、この領域が転写開始の際、DNA結合に重要であることを明らかにした。 2.線虫TFIIEを用いたPol IIの転写開始から伸長への移行段階の解析 我々は、TFIIEの機能を解析する目的で線虫TFIIEを単離しヒトTFIIEと比較検討した。ヒトと線虫TFIIEのサブユニットを組み合わせたキメラTFIIEを発現・精製し、転写再構成系にてヒトTFIIEと機能的互換性を検討したところ、線虫βはヒトβと部分的に置き換ったが、線虫αは置き換らなかった。原因を検討すると、線虫αはヒトβとの結合活性が10%以下となりヒトTFIIEの様な転写活性を示さないことが分った。一方、線虫βはヒト転写系では伸長への移行活性が低かった。TFIIEは、Pol II最大サブユニットのCTD配列の2番目と5番目セリンのTFIIHによるリン酸化を促進する。ヒトαと線虫βのキメラでCTDリン酸化を調べると、5番目セリンリン酸化活性が著しく低下していた。今回、伸長への移行はPol IICTDの5番目セリンリン酸化と密接な関連性があることが示唆された。ヒトゲノム解読が完了しようという今、「情報はいかに発現されて機能するのか」という問題が、今後のテーマになる。我々の結果は、生命現象を解明する重要な指標と成ると考える。
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Report
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Research Products
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