Budget Amount *help |
¥4,300,000 (Direct Cost: ¥4,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥4,300,000 (Direct Cost: ¥4,300,000)
|
Research Abstract |
膵癌の浸潤転移機構におけるEMTとその分子機構(特にTGFβシグナリング)に関して以下の知見を得た. 1.膵癌細胞におけるEMT誘導:膵癌細胞株PANC-1にTGFβ1接触でEMTと遊走能・浸潤能の促進がみられ,EMTと膵癌細胞浸潤能亢進の相関が認められた. 2.膵癌細胞のEMT誘導におけるRhoBの関与:PANC-1細胞をTGFβで刺激するとRhoB蛋白の経時的蓄積が見られた.変異RhoB遺伝子導入実験では,CARhoB株ではTGFβ刺激の有無に関わらずEMT形態変化がみられ,DNRhoB株ではTGFβ刺激でもEMT形熊変化が誘導されなかった.親株では上皮系マーカーはdown-regulateされ間葉系マーカーはup-regulateされたが,CARhoB株ではこれらのマーカー変化がTGFβ非存在下で観察され,DNRhoB株ではTGFβ刺激でも誘導されなかった.遊走浸潤能の検討では,CARhoB株はTGFβ刺激の有無に関わらず高い遊走浸潤能を示し,DNRhoB株ではTGFβ刺激でも完全な抑制が見られた.したがって,RhoBはTGFβによりup-regulateされ,EMTを誘導し遊走浸潤能を促進することが,明らかとなった. 3.TGFβ/RhoBシグナルの下流経路:PANC-1細胞をTGFβで刺激しERK1/2蛋白発現変化を検討すると,5〜15分をピークに活性が見られた.MEK阻害剤とp38MAPK阻害剤をTGFβと同時に作用させたところ,MEK阻害剤はTGFβ刺激とCARhOB株により誘導されたEMTを完全に抑制し,p38MAP阻害剤はEMTを増強したが,DNRhoB株では両阻害剤に全く変化を示さなかった.したがって,TGFβシグナル伝達系では,RtobBの下流にMAPKが位置し,EMT・遊走浸潤能に作用すると考えられ,p38MAPK経路は拮抗する経路と考えられた.
|