寛政期江戸の狂歌師流霞窓広住の読本に関する調査研究
Project/Area Number |
12710237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国文学
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
近藤 瑞木 東京都立大学, 人文学部, 助手 (20305402)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 流霞窓広住 / 読本 / 狂歌 / 頭光 / 寛政 |
Research Abstract |
本年度も都立中央図書館、関西大学図書館、慶応大学附属図書館などにおいて狂歌本を中心に資料収集と調査を進め、流霞窓広住の朱楽連及び伯楽連社中としての活動の足跡を探った。本年度は特に、広住の友人春蘿堂楽也と至極楽也の人物同定や、便々館湖鯉鮒、酒月米人との交流など、その活動範囲について視野を拡大するいくつかの新知見を得た。 また、広住と同時期の狂歌師頭光、森島中良等の初期江戸読本と、明和・安永頃の上方文人作者の読本とを比較検討し、そこに読本という小説形式の発展・変容の様相を検証した。初期江戸読本が中国文言小説や日本の御伽草紙、巷説、軍記、浮世草子などに広く典拠を求めつつ、そこには同時代的な(寛政度の対社会的な)問題意識の反映の見られることを検証した。初期江戸読本に近世的保守性の顕著なることについては大高洋司氏の指摘があるが、本研究では特に蜉蝣子の『奇伝新話』と森島中良の『凩草紙』について、これらが中世以前の非定住民的発想の物語(立烏帽子伝承・小栗説話等)に拠りながらも、儒家的論理によって統御されている現象を指摘し、その封建的保守性に言及した。広住の場合、比較的そのようなイデオロギー色は希薄で、むしろ趣向主義に徹しており、より純粋なエンターティメントになっている。広住作品における「和」を中心とする典拠利用の方法、勧善懲悪主義の後退、大衆読者層と等身大の人物造形等の諸特徴を究明した。特に「牛怪根井八郎剛勇之話」「蘇鉄の霊仇を討話」等を話例として、広住作品に従来の文人小説的・因果話的モチーフの解体と、通俗大衆小説としての再生のモメントを捉えた。尚、本年度は広住の未翻刻読本である『破几帳』の翻刻を行った。これは上記内容の論文化と併せて、解説を付しての公表を予定している。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)